《論稿2》「コロナに立ち向かう日本企業」(2020年4月4日) 

日本の企業も一部ではありますが立ち上がっています。やっとですが、4月9日あたりから動きが活発化しています。この記事ではその動きを追いながら逐次お伝えして行くことにします。日本企業がんばれです。

■シャープ:おそらくこれが一番早い動きでもう広く知られていますが、2月24日にマスクの生産を決定し、3月24日から同社三重工場で生産を開始しました。日産15万枚から始め最終的には日産50万枚を目指すということです。https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/07451/

■富士フイルム:これもよく知られていますが、新型インフルエンザ治療薬「アビガン」に関する動きです。2月下旬から動きがありますが、3月31日にメーカーである富士フイルム富山化学が国内で実際の患者を対象にした臨床試験を開始したとのこと。厚生労働省も関わる複雑な状況ですが、その詳細はこちら⇒ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57498890R00C20A4000000/

■ファーストリテイリング(「ユニクロ」、「GU」のメーカー):3月26日医療用マスク約1000万枚を日本や海外の医療機関へ寄贈すると発表しました。https://www.wwdjapan.com/articles/1064177

■資生堂:4月1日、「アルコール消毒液の生産を米欧で始める。化粧品を作る際に必要なアルコールを扱う技術をいかす。既に3月末にフランスで開始し、米国でも4月6日をメドに着手する。」と発表。なぜ米欧? 日本は?という多くの声が筆者には届いています。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57508860R00C20A4TJ1000/

■ソニー:「4月2日、新型コロナウイルス感染症により世界各国で影響を受けている人々を支援するため、総額1億米ドル(約108億円)の支援ファンド「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を立ち上げた。支援は、感染症対策に現場で尽力している医療分野に加え、同社の事業が関わる教育、エンタテインメントの領域で行う。」とのこと。金銭的支援ですが、総額100億円を超えるということで相当思い切ったアクションです。多才なブランドなのでロボット等、他ではできないモノや技術を生かした支援も欲しいところです。(2020年4月9日追加)
https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1196264_1501.html

■菊水酒造:4月3日、「このたびアルコール度数77度の高濃度スピリッツ「アルコール77」の製造を開始。関係省庁のご指導のもと、4月10日から出荷開始を予定しています。」と発表。薬用の認可が複雑で見通しが不透明なので酒税を払ってでも飲料用アルコールとして製造・出荷するとのことです。
https://www.value-press.com/pressrelease/239449

「代表取締役社長 春田和城より: 当社は、2018年7月豪雨により甚大な被害を受けましたが、各方面から多大なご支援をいただきました。当社の有する製造設備等を活用して、皆様のお役に立てる製品を提供することで、恩返しにつながればと考えたものです。今後も各界のご指導のもと改善を尽くした製品を順次製造して参りたいと存じます。」

これは心から「がんばれ!」ですね。(2020年4月10日追加)

4月10日の「ニューズウィーク日本版」では菊水酒造ほか酒蔵2社の同様の動きが報道されました。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-93096.php (2020年4月11日追加)

■トヨタ自動車:この記事が出た直後の4月7日、次の一報が入ってきました。「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、トヨタ自動車は7日、グループと連携し医療現場の支援に乗り出すことを表明した。自社工場で医療用品の生産を始めるほか、医療機器の増産支援でも協力する。グループが持つ製造・物流面のノウハウや世界に展開するサプライチェーン網を活用し、感染症の治療や拡大防止に貢献する。日本の基幹産業である自動車業界が復興のけん引役となり、経済・社会の正常化を根底から支える構えだ。」(日刊工業新聞)こちらに相当詳細な記事があり、登録により無料閲覧できます。https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00554430?isReadConfirmed=true

遅ればせながら、ですが今後このような動きが加速することを祈りたいです。

■花王:さらなる大きなニュースです。「 品薄が続いている除菌・消毒用アルコール製品に「一筋の光」が差しそうだ。   花王は2020年4月9日、新型コロナウイルス感染の影響で品薄状態が続いているアルコール消毒液「ビオレu 手指の消毒液」、業務用「ハンドスキッシュEX」の生産を4月後半から、これまでの20倍以上に増やすと発表した。」(J-CASTトレンド)
https://www.j-cast.com/trend/2020/04/09384003.html?p=all

花王広報は「1月後半から大きな需要が発生したことを受け、2月から全力で増産を行ってきた。直近3月は昨年の3倍ペースで増産してきたが、それでも供給が追いつかない状況」と説明。「これまでは政府の要請を受けて医療機関や介護施設などに優先的に供給してきましたが、今回の増産により、試算では一般の家庭向けの供給も増える見通しです」とのことです。

消毒液が店頭に並び消費者に届くのは5月以降になりそうです。スローな感じは否めませんが朗報です(これはメーカーだけの問題ではないと思いますが)。(2020年4月9日追加)

■厚生労働省:「人工呼吸器増産へ、承認効率化 厚労省、他業種参入促す」
https://www.asahi.com/articles/ASN4G349XN4FULBJ025.html
「人工呼吸器の組み立てなどの製造にかかわる場合、都道府県知事の承認が必要となる。通知では各都道府県に対し、こうした承認の手続きを優先的、迅速に行うように求めたほか、事前に必要とされる製造拠点の現地調査は承認後でもよいとした。」
「やっと今になって」ですね。アルコールにしてもこの人工呼吸器にしても最初のネックはここだったんですね。果たしてこの結果都道府県がどんなスピードで動くか。そして他業種のメーカーがどの程度手を挙げるのか。プロジェクトの召集(3月18日)から開発、生産を経て認可(3月30日)まで12,3日という英国の「プロジェクト・ピットレーン」(本稿2頁参照)のスピードに少しでも近づくことを祈ります。(2020年4月14日追加)

■ホンダ:やっとホンダも動き始めましたね。ぜひ頑張ってほしいです。
「ホンダ フェイスシールドや感染者搬送車両を生産 自動車の生産技術でコロナ支援」
https://www.netdenjd.com/articles/-/231281(日刊自動車新聞電子版)
うれしいのは患者搬送車両の提供で、すでに開発、生産も完了し4月13日には港区よ渋谷区に納車完了したとのこと。
「感染者を搬送する車両は、運転席と後部座席の間に仕切りを設置するとともに、エアコンによる外気の導入と後部座席の排気で前後席空間に圧力差を発生させることにより、飛沫感染を抑制する。ベース車となる「オデッセイ」や「ステップワゴン」を生産する埼玉製作所狭山工場で仕立てる。4月13日に港区や渋谷区に納車を完了し、今後も各自治体に納車する。」上述の記事には、これらの工夫を図解した写真と図があります。動画はこちら、https://www.news24.jp/articles/2020/04/17/06627630.html
(2020年4月15日追加)
ネットでの称賛を伝える関連記事(2020年4月20日追加)https://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/200419/ecn20041917000001-n1.html

■サントリー:サントリーも4月15日に「医療機関向けに高濃度アルコールを無償提供」と発表しました。
「サントリーホールディングスは4月15日、新型コロナウイルスの感染拡大で消毒用アルコールの需要がひっ迫している状況を受け、子会社のサントリースピリッツ大阪工場で蒸溜したアルコールの一部を医療機関などに向けて4月下旬から無償提供すると発表した。」とのこと。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2004/15/news150.html
この記事で気になるのは以下の記述。「厚生労働省は4月10日、高濃度エタノール製品の入手先として酒税法に規定する酒類製造者や販売者を追加すると通知した。これにより、サントリーなどの酒類製造業者は、医薬品や医薬部外品ではない高濃度エタノール製品の広告やパッケージに「消毒用エタノールの代替として手指消毒に使える」と表示できるようになった。」
分かりにくい記述ですが、要するに厚生労働省がこの通知を例えば3月10日に出していたら国内のアルコール不足はかなり緩和されていたのではと思いますがどうなんでしょうか。関連記事はこちら⇒https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2004/10/news143.html

■ソニー:ソニーでもやっと「ソニーらしい動き」が始ったようです。今(2020年4月16日17:00)届いたリリースです。
「ソニー株式会社(以下、ソニー)とエムスリー株式会社(以下、エムスリー)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に従事している医療関係者、そして病と闘っている患者の皆様に両社のテクノロジーと知見を集結して貢献すべく、協業を開始することを決定しましたので、お知らせします。」とのこと。詳細は⇒https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/202004/20-0416/?fbclid=IwAR0ciEI3bNGS3aonZo42R56vAWkipjqPBNdQqDholzWn1w_nY4qx0ILpScI

ソニー株式会社 代表執行役 社長 兼 CEO 吉田憲一郎のコメント:「エムスリーの医療分野における豊富な知見、ネットワークとソニーのテクノロジーの力を結集し、新型コロナウイルス感染症に対応する医療の最前線を守ることに貢献できるよう、迅速に活動を進めてまいります。」
エムスリー株式会社 代表取締役 谷村格のコメント:「ソニーとエムスリーが連携して、従来にない発想で医療界に新たな貢献をしていければと考えています。まずはCOVID-19問題に少しでもお役に立てるよう、施策をスピーディーに展開してまいります。」

■日産自動車:「日産自動車は4月16日、新型コロナウイルス対策への支援の一環として、医療用フェイスシールドを製造し、国内医療現場に提供すると発表した。」
https://response.jp/article/2020/04/17/333710.html

■ANA:「全日本空輸(ANA/NH)グループは4月16日、不足する医療用ガウンの縫製を支援すると発表した。中国から拡散した新型コロナウイルスの影響により、一時帰休するグループ社員が製造にあたる。ガウン製作会社が指導し、4月末から当面の間続ける。」

ANA、医療用ガウンの縫製支援 一時帰休スタッフらがボランティア


このニュースは、ANAの本来の業務領域を大きく超えて「自分たちでできることなら何でもやる」という姿勢が伝わってきて「熱い」ですね。「ANAのスタッフは職種や性別を問わず、縫製と補助作業で支援する。ガウン製作時間は勤務時間に含まれず、ボランティア扱いとなる」とのことで、がんばってほしいです。