参加者の声 SPROULE,Simon氏

第4回 「Integrated Brand」
SPROULE, Simon (日産自動車㈱ 執行役員)

 

■世界43箇所に対し、全て同じ広告を出すというところには驚いたが、空港という限られた空間でプロモーションする、というところでは見る人が限られていることからも非常に効果的なプロモーションだと感じた。
メディアステーションの活用や900ものストーリー製作がどこまで効果を得られているかなど、もう少し具体的な検証が必要なのかもしれないが、ニッサンブランドの世界に向けた発信の仕方を拝聴することができ、勉強になった。

■現在弊社では商品広報・宣伝はマーケティング部門が担当しているが、社内広報の担当は別のCS部門、企業広報は本社部門に分かれている。それぞれが必ずしも戦略まで共有できていない。
それに対し、日産は統一したベクトルで動ける体制を整え、そこに求められる人材を外部から思い切って採用し、その成果物を出すことで社内外に好循環をもたらしている。このような改革は伝統的な日本企業にはなかなか真似できないが、日産の経営層がそれを実行したことはまさに英断であり、戦略を迅速に進められる会社になったことを羨ましく思う。当社でそっくり真似しようにも企業文化の違いから同じには行かないとは思うが、トップの方針次第ではここまで実現可能という例を拝見できて非常に刺激になった。

また、組織体制以外にも、強力なブランド作りのために中央集約的な手法でグローバルな発信内容を管理する必要性や、その際にJapanを前面に打ち出していくことの価値を改めて認識させていただいた。世界でどこまでJapanを打ち出すべきかは悩んでいたところであるが、確かにそれが一番の強みであると改めて認識できた。
そのJapanとしての強みをストーリーに乗せて伝えることができれば宣伝効果だけでなく広報としての効果も期待できるわけであり、その戦略は間違っていないと確信した。「ことづくり」とはStory-tellingであると分かり、片平先生のご意見がすっきり腹に落ちた。

■SIMONさんの講演
*骨子の明確さ、素材の魅力があり、素晴らしいものでした。
*VISION
*MISSION
*PLAN(SCHEDULE)と括りも明確で合議で無く合理が感じられる

*GLOBAL化で ONE VOICE化は以前のSONYと同じ、統一、統合
*3ブランドの棲み分けも明確
Q&Aより
*ブランド向上の目安は収益(REVENUE)と言い切るのは流石
*進展国、中国への投資は当然の選択

まとめ
*当然と思う「内容」が多いのは、業界的に平均値なのか
日産の言い方に私が刷り込まれているかのどちらか
= 冷静に考えると平均値と感じます。”

■日産の「Marcom」の考え方をじっくりうかがうことができ、大変勉強になりました。メディアセンターなど具体的な手法のレベルになってくると、簡単にはマネできないものも多いですが、何より根底の考え方にある「ストーリーを伝える」ことをやりきっているその姿勢に大変感銘を受け、できるところから私どもも努力していきたいと思いました。また、日本発の企業であることを誇りにしながらも、グローバル企業として進化し続ける日産は、多くの日本企業にとって勇気をいただくと同時に、学ぶことの多い企業であると感じました。Q&Aも含め、会社の取り組みをオープンに語っていただいたスプロール氏に感謝いたします。

■空港でのグローバルキャンペーンの進め方が非常に参考になりました。(私もクアラルンプールのトランジットで拝見しました。)著名なコメディアンの方や、ウサイン・ボルト選手の絡め方等一流の方へのアプローチの仕方は勉強になります。

■全体に教科書通りのブランド施策についてのお話しが多く、濃さとしては少々物足りませんでした。
実行に際して発生する様々な軋轢や反対意見にどのように対応したか、など、現場のエピソードがもっと聞けると良かったと思います。

英語による講演、色々な意味で新鮮かつ時流にのっており、大変良いですね。今後も是非。
片平さんによる通訳&要約も、語学に拙い私には大変助かりました。

■以前から、話題になっていたサイモンさんの講演、講演の領域を超えて、指南の域であったと、感謝しています。拝聴当初は、「なんでもっと波及させないんだろう?」と思いましたが、冷静に考えると、凄い戦略が隠れていのではと思えて来たのです。
その理由は、基本に忠実な「IR活動」と確実な「コミットメント」を着実に熟し、強固な「型」を創り、Kotozukuriの術に、「型破り」を披露し、その中身は、「内(社内)の変化で、外を巻込む」、従来のリーチ主導の真逆ではないかと感じたからです。
つまり、マス化しないで、「濃くてHotなFun」に特化して、波及させる手法で、コメディアン一人への対応、支局長クラス13名?の世界への発信、本社10階のMCの存在等々、実はマスへのリーチなど全く考えていないのではないでしょうか。45か所のボードの投資が出来る日産ならば、マスに打って出る事も可能なのに、これらの事実ですら、訴求していません。昨今「いいね!」の数を増やしてもFunは増えないと言われますが、この日産の戦略は、この課題への示唆ではないかと思います。
飛行場のボードも、TVCMに比べれば、飛行機に乗る事の出来る層なので、クラスは少々上で、その層が、毎日一定量「認知」する。拡散から、究極の限定へ、凄い戦略シフトを、直に感じられるのが、現在の日産ではないでしょうか。惜しげもない指南に、感謝したいと思います。

■日産自動車、日航など、どん底から著しく変貌を遂げた企業の経営人はやはりちょっと違う。無駄と思える経費は徹底的に見直し、そぎ落とす。そして強みの研鑽、弱みの克服など課題解決のためのストーリー作りが上手いという印象。
ステークホルダーが期待することに対して、企業が目いっぱいの努力を重ね、それを可能な限り実現し、満足度を高めている。その上、更なる高見を目指して革新に次ぐ革新、やれることは全てやる。その推進力は衰えることを知らない。こうゆう将来にあるべき姿を実現するため積極的に投資する企業が増えていけばにっぽん丸も安泰なのだが。グローバルな陣取り合戦の真最中に、将来のためにといって内部留保ばかりしている企業に将来はないと思わせるに十分なお話であった。

■今回は丸の内BFの会員の紹介で、日産の販売計画について聴講する機会を得ましたことについて、感謝しています。
I thank you as well as the secretariat for giving us an opportunity for attending and hearing the presentation of NISSAN. I could participate in the lecture thanks to the introduction of a member of Marunouchi BF.

私どもは、欧州のコフィルート社のような、高速道路ネットワークオペレータです。
We, NEXCO East, are the expressway network operator like COFIROUTE in Europe.

道路と自動車は、道路という同一のプラットホームにおいて活動している組織であり、そうした意味からも、日産のプレゼンテーションを興味深く聞かせて頂きました。
I was interested in your presentation on NISSAN’s experience, because NISSAN and NEXCO East are both entities acting on the same platform called road infrastructures.

日産が販売計画の情報発信を自ら行っていることについて、その取り組みの奥の深さに感心致しました。我々も独自のウェブサイトを通じて、ユーザーサービスや関連商品販売などを行っています。
It was helpful for us to hear about Nissan’s method that your company disseminates various information by using website and studio in the headquarters, that contribute to your cars’ sales. We also perform user service or advertise our products through our website.

一度、メディアセンターを見学させて頂き、共通の話題など意見交換できれば幸いです。
I shall be happy if you will provide us with an opportunity to visit your studio in Yokohama producing various contents and to excahnge views on common topics.

■同業ですがマーケティング担当ではないので、一般ユーザー、オーディエンスの目線で少々無責任に、でも本音のコメントをします。日産自動車が10年ほど前から社内・外のコミュニケーションを改善する活動を長期計画で積極的に進められていることは何かの講演で聞いていました。世界中の日産ネットワークだけではなくルノーも含め、社内用語を統一したりサーバーやコンピュータネットワーク運用の統合を進め、相互コミュニケーションの障害を地道に取り除いてきたそうです。今回紹介されたグローバルコミュニケーションセンターはそうした活動の総仕上げとして行われるものと思っていたのでかなり期待をしていましたが、昨日の事例では狙いが少々外れているように見受けられました。始めたばかりで今後改善されていくものとは思われますが、【プロのレポーター】を使ったことに方向誤りの原因があるように思いました。
サイモンさんは繋がったネットワークを使ってワンボイス(大本営発表)の情報発信を目指しているように見受けられます。その為には【プロのレポーター】が最適だったのかもしれません。
しかし、情報化時代の消費者はそんな情報にはうんざりしており、見る気もしません。
リーフの「GRANDRIVE」イベントレポートはいかにもプロが会社目線で作った
盛り上げが見られましたが、視聴者目線ではあんな吹きさらしで食事をさせられて何が楽しかったのか?リーフで追浜(都心から60km)まで行って、全車充電せずに帰れたのだろうか?青森、山口から参加したつわものも居たとか。急速充電する設備は何台分あったのだろうか?と気になりますが、その辺は触れられていません。
スポンサーが喜ぶストーリーに作り上げていくプロの性が見え隠れしていました。
もっとユーザーの本音、苦労話を率直に取り上げてみてはどうでしょうか。その方が共感を得られると思います。
情報化社会ではメーカーよりも消費者の方が情報リッチになり、消費者の共感を得られない情報は発信しても意味がなくなっています。
もっと根本的な話として、最近、先進国では世の中を動かす基本原理、価値観、規範が大きく変わりつつあるように思います。
かつて「法律違反で無ければ利益を出すために何をしても良い」という発言に象徴された私権の極大化を容認する社会は既に行き詰まり、最近は金融政策も財政政策も効果のない閉塞社会になっています。私権の拡大を目指して構築されてきた社会システムはそれ自体が否定される時期に来たように感じます。
お仕着せのブランドはもう結構。【共認】、ユーザーの期待に応え、ユーザーが価値を認めるブランド作りが必要というのが門外漢の私の主張です。
その為にはユーザーと本音でコミュニケーションし、全社員がそれを共有する事が重要。
日産はインフラのフレームが出来ているので、あとは運用次第。日産さんのお手並み拝見。

■日産から学ぶべき重要な点は、物語を伝える重要性をトップ(ゴーン氏)が理解し、社としてそれを実践していることだ。
”Every company is a Media Company.”という定義は、シンプルで分かりやすい。
多くの日本企業は物語を伝えることに対する理解、関心が極めて低く、優れた商品サービスをつくりながら、顧客に共鳴を生まず、その先の購入にいまひとつ繋がらない状況が発生している。

物語は意図的に作らなくても、自然発生的に生まれてくるものだ。ただし、単に物語を収集して伝えるのではなく、いかにキュレーションするかで成否が分かれる。キュレーション力が試される時代なのだ。

また、今回の講義の最大のキーポイントは、 SPROULE氏がブランドの定義を「revenue」と語ったことだ。「income」ではなく 「revenue」であったこと、これが欧州プレミアムブランド車(社)と日産との差である。”,”次回ラウンドのテーマを勝手に夢想し、フェニックス(不死鳥)で提案しようと考えていました。
先日、いま一番興味を持っていた「富士フイルム」の名前を聞き、とてもうれしくなりました。

フェニックス企業の候補は「メーカーズシャツ鎌倉」、「JINS」、「アシックス」です。
(これからのフェニックスとして)大注目は三越伊勢丹の大西さん。年中無休、バーゲン前倒しが常態化してしまった百貨店業界で、休業日を設け、バーゲンも後倒しにして悪習(悪臭)を変えるチャレンジに取り組み始めました。

■日産の具体的な”コトヅクリ”に触れる良い機会でありましたが、それが購買者やユーザーの皆様にどんな変化や影響を与えているのか、効果の点に関する内容を更に深堀していただきたかった。

■英語が苦手な私としては、余り理解は出来なかったですが、「語る事の大切さ」「伝える為の努力」というものは必要性を十分に感じました。また「体験を通したブランド作り」という事にも非常に興味を持ち、私の業界でどの様な事が出来るのか?を考えるいい機会になりました。

■日産の攻めるプロモーション戦略を実に興味深く拝聴しました。
特にマーケティングとプロモーションを一体的に進めているところは、ソニーのプロモーションの考え方にも通じるところがあり、参考になります。
良いものを作っただけでは消費者に届かない、という課題は、やはり技術者の集団である弊社でも同じくするものであり、プロモーション分野の強化が必要と考えるところです。

ところでお話しの中で2週間で1台の新車を開発・発表していくとあったかと思います。ものすごいペースだと思います。
私のこれまでのイメージは、欧州のメーカーは車種も少なくモデルチェンジの期間も長い、それがゆえに会社のブランドと製品のブランドが一致している。一方、日本車のメーカーは真逆を行っており、ために会社と製品のブランドの乖離がある、というものでした。
このあたりのブランド戦略を日産はどのように考えているのか関心を持ちました。

■「ものづくり一流コトづくり三流」
片平さんのお叱り(お怒り)もごもっともと思います。
「日本はモノづくりは一流だが、それをきちんと世界に伝える努力が足りない。モノづくりの技と思いを世界に伝えること、日産はこれを『コトづくり』と呼んで今後はモノづくりと同じくらい力を入れていく」とゴーンさん。
NISSANは日本の自動車会社では間違いなく、最もブランディングに力を入れている企業だと思います。
そのNISSANが今最も力を入れているのがSPとPRを合体した“MarCom”という統合コミュニケーション組織。これは確かに組織のカベを取り払った他社に先駆ける改革であり見習うべきものです。
翻って、社内を歩るけば「いい物を作ればかならずわかってもらえる」的な論調や「クルマは良いのだから乗せて(試乗させて)しまえば勝ち」などという声も、、、なにをかいわんやです。
今のどこかの企業に欠けているもの、それは発信力、伝える努力なのだと猛省すべきでしょう。まずその認識を持つことからはじめないと、、
学ぶべきこと、真剣に危機感を持って受け止めなければならない事は待ったなしの状況にあることは肝に銘じなければなりません。
さて、その一方で、あえて余計なひとくさりを
同じ自動車会社のことだからでしょうか、私としては他のセッションのときのような高揚感が不思議と沸き起こりませんでした。
ひょっとしたらこの麻痺してしまった感覚こそがダメなのだということですか?中の人にとっては当たり前の光景がお客様や外の人には価値を持つのだということでしょうか。
ゴーンさんの通訳さんは確かに凄いのは間違いないし、ボルトがGTRオーナーなのも「へぇ~!」と思うし、 “ペブルビーチの冠”はよく獲れたなと感心します。
メディアのプロを招聘してのグローバル・メディア・センターから1日1ストーリーとYoutubeでの17269V/Dも実績ですし、これ自体もまたコトづくりですね。(事実片平さんという目利きが日経で拡めていらっしゃる・)
NISSANがこれらショートストーリーをどのようにNISSANブランドという“ロングストーリー”に仕立てていくのか、注目していきたいと思います。
魂を揺さぶるような驚きと感動のストーリーがモノづくりに詰まってこそコトづくりが生まれると、ブランディングを知らない会社の人間はまだ思うわけです。

■以前、ゴーン氏が着任して始まった日産自動車のIdentity Design(現在使用のカーバッジ、NISSANロゴデザインなどの基本デザインをはじめ、アプリケーションデザイン、デザインマニュアルまで)について、日産本体並びに関係会社や関連サービスなどかなりの部分を手がけたデザイン会社に勤務していました。そこでデザインプロジェクトや、ネーミングのプロジェクトなどに参画していました。
そのため、すでにデザイン会社を離れてから何年も経っていますが、現況が伺えるのを大変楽しみにしておりました。
本社の移転、積極的な広報活動、LEAFをはじめとする新たな取り組みや、昨今のSNSの普及を踏まえた取り組みなどの紹介など、実際の映像を交えて紹介頂ける良い機会でした。一方で、社外秘もあるためか、””NISSAN””と””INFINITY””や各車種ブランドについての説明は、いまひとつ分からない、というのが正直なところでした。
複数車種を持つ日本の自動車メーカーのあり方というのを今一度考える必要があるのではないか、というのも改めて感じたことでした。