《MBFメンバー》
■ Aクラスのアニメを用いたCMが出たとき、とても驚いたのを思い出した。Aクラスのイメージを変えるためのチャレンジであったと同時に、確立したブランドイメージがあるからこそできたことがよくわかった。常に新しさを感じさせるブランドであり続けること、またブランドが元気であること自体が、既存ユーザーにとってもうれしいことであると言い切れる強さに感動した。
■ 今から30年も前の話になりますが、ドイツに駐在していた頃、BENZのディーゼル車が、タクシーとして街中を走り回っているのに驚いた経験があります。 また現地で生活しているとドイツ人は見栄っ張りというより、意外と節約家であることも分かってきたのですが、そんな彼らが初期コストの高いBENZのディーゼルを選ぶのは、長距離走行が当たり前の彼らにとって、燃費や修理費といったトータルのコストが結局安くなることに加えて、安全性に対する絶対的な信頼感があるからだと分かりました。 それ以前の日本でのBENZに対する印象は、成金の社長か反社会勢力が乗る車、といったネガティブなイメージでしたが、日本でも190Eが出た頃から、弁護士の友人が奥様用に購入するなど、イメージが変わってきたな、と感じ始めていました。 それがここ最近の大イメチェン! それまで都会的で若々しいイメージで先行していたBMWを、完全にぶっ飛ばすようなアグレッシブなデザインと、手の届きそうな価格帯の投入で、日本で輸入車No.1になったのも頷けます。 特に上野さんのチャレンジングな姿を見ていると、デトロイトのメーカーもトランプゲームにうつつを抜かさず、爪の垢でも煎じて飲め!と言いたいところですね。
■ 同業として、技術者出身ではなく営業畑出身、欧州メーカーの日本法人社長ということで興味深くお話をうかがいました。こう書き出したのも「自動車を発明した会社」であり、世界が認めるプレミアムセグメントのセンターとしてゆるぎない存在感をしめす「王者」故の悩みを垣間見たからです。一般人的な目で見ればメルセデスベンツとはもう間違いなく「ブランド」であって黙っていても懐の豊かなお客様が来てくれるようなラクな殿様商売かと思われているフシがありますが、まったくそんなことはない、大変なビジネスだと思います。まずその強さゆえのブランドイメージ、ベンツ=金持ち(spirit of noblesse obligeがない方の)の払拭。世間体を気にする日本ではそう見られたい人以外にはなかなか敷居が高い。金持ちのクルマ≠自分たちのライフスタイルに合わないという若者。そして、「ゴルフバックが積めないじゃないか!」という顧客の声を自分で新車開発することが出来ない現地法人ゆえの歯痒さ。ハードウエアとしてのM/Bは間違いなく自動車の一級品です。だったらそれを正しく広く伝えたい。だからこその「革新を止めない」ということ、「広める革新」としての数々の(M/Bにしては)型破りな施策なのです。革新を生み出すのはまず「人」です。M/Bと日本を知り尽くした上野さんのような「元気な人」の努力があればこその「元気なベンツ」輸入車ランキングNo.1なのです。 「成功してから乗るクルマ」ではなく「成功しようとする者が乗るクルマ」とブランドを再定義した、そう考えれば日本アニメ界を代表する精鋭クリエイター陣が手掛けたA-ClassのPVも「なるほど!」です。
《片平ゼミ学生》
■ メルセデスベンツの全方位に全集中して働きかけるその姿勢に感動した。
■ 最近のメルセデスのCMで、マリオやPerfumeとコラボしていたものは私自身も見たことがあって印象に残っていたのですが、正直なところ見た当時の感想は「変なことをしているなあ」という必ずしもプラスではないものでした。しかし今回お話を伺って、それらのプロモーションも「ブランドへの敷居を下げる」という意図があって行われていたことを知り、そうした観点から見ると私の印象に残っていたのも一つの成功なのかもしれないと納得しました。
■ メルセデス・ベンツは、子供の頃もブランドだと容易に認識していたくらい、トップブランドとしての地位を確立している。しかし逆に、敷居の高さや「イイおじさんの車」イメージといった、ブランドとの遠さも自分は感じていたように思う。 そんなメルセデス・ベンツが、近年そのイメージを打ち破るような大胆なマーケティングを行っているというのは非常に意外だった。(GLAとマリオのコラボCMははっきり覚えていたが) 大胆なマーケティングを行ってもなおブランドとしての威厳が揺らがないのも、メルセデスの強さではないかと感じた。
■ 私たちの年代ではなかなかメルセデスというイメージは固定化されておらず、だからこそエントリーモデルに対するキャッチ―なCM展開、メルセデス・ベンツコネクションの運営は非常に響くように感じた。車のトップブランドとして歩み続けながらも奢らない、メルセデス・ベンツの強さを垣間見たような気がします。ただ冒頭で述べたように、このブランドに対する事前知識が乏しかったので、もう少しブランドそれ自体についてのお話があるともっと能動的に思考することが出来たと思いました。
■ 最近のメルセデスの戦略を知ることができとても興味深かった。Aクラスあたりからメルセデスへの印象が変化したような印象を受けていたが、その裏には販売数増加に向けた戦略があったことを知ることができ、納得した。顧客の裾野を広くしつつプレミアムカーとしての魅力も失わないための努力についてのお話はとても印象深かった。