参加者の声 松井忠三 「無印良品が世界で勝てる理由」

丸の内ブランドフォーラム ラウンド 16・1
第5回 6月 15日(水)
松井 忠三
「無印良品が世界で勝てる理由」

 

■ 無印良品の商品開発にこめた哲学や、変えないこと/変えることについて、さらに開発プロセスについて参考になるところが多かったです。
・お客様に聞いても「改善」アイデアしか出ない、むしろ観察をベースに「シーズ」を探しに行く、その際に目利きが行くことが大事であるということ
・開発プロセスの最後にアドバイザリーボードが哲学に沿ったものかどうかを判定、最終決断は商品部長が行うということ
・商品の力以外で売ろうとすることや価格政策は行わないこと  など
無駄や華美な装飾をはぶき、本質を追求するという姿勢は、時代を先取りしていたのだと、改めて感じました。

■ 5/21に広告学会クリエーティブフォーラムで現会長・金井様のご講演を聞いていたため、より興味深くお聞きできた。「訳あって安い」へのこだわりは、確かにMUJIの背骨であり魂なのだと痛感した。故田中一行氏から連綿と続くアドバイザリーボードの存在は、他の追随が不可能であり、非常に大きな競争力の源泉と考える。
ここまでの「応援団」それも一癖も二癖もあるクリエーター集団をまとめていく求心力は、どこにあるのだろう。やはり堤氏の存在が大きかったのかな

■ ・「Local MarketにBusiness Modelを合わせる実行力」は言うに易し、行うに非常に難しであることは自明ですが、「やりきる力」を持っている組織だけが成功するということを改めて感じました。
・失礼ながら、略歴を拝見するに教育大学の体育がご専門と伺い、理系でもなく文系でもなく、「正しいやり方」で「実践を徹底する」ことの大切さを誰よりも知り、それを粛々となしていらっしゃるのだと得心しました。
・大企業とは社内評論家が増えること、前任と違うこと、他の組織と違うことがしたくなって継続性と一貫性が失われることではないかと考えますが、それを排する仕組みをお持ちであると感じました。
・マニュアルと聞くと、守らなければならない縛りのように思いますが、型を身に着けて自ら行動できるようにするツールであるとご著書の中で伺いました。レベルはまるで違いますが、以前コンプライアンスを担当し社内に口うるさいと嫌われていた時、「あなたが守らなければならないコンプライアンスではなく、会社があなたを守るために必要なのがコンプライアンスなんだ」と解きほぐして回ったことを思い出しました。

■ 松井さんの事は、その著書「無印良品が世界でも勝てる理由」を読んだ時から、経営者として尊敬しておりましたが、今回ご本人の生の声が聴けて、さらにその念が強くなりました。
MUJIの独創的かつ日本的なブランドコンセプトは西武グループの堤清二さんの発案との事でしたが、そのブランドのコアを守りつつ進化もさせたのは、正に松井さんの功績だということがよく分かりました。 特に、海外に向いている社員の選び方や海外人材の育て方、また海外への出店戦略などのオペレーションは、さすが“海外の多様な現場と人材”を知り尽くして、と言うか失敗の経験から編み出されたものと見受けられ、感心致しました。
ただ、名誉顧問となられた後、「経営には一切かかわっていない。」との事、今後の行方に注目(有印)です。

■ 無印良品はもとからブランド力が強く、海外展開に成功したのではなく、その地域の特性を考えた上でその地域にあった戦略を取っていたことが分かって、グローバル戦略という万能の魔法のようなものはないことを改めて実感しました。また、特に印象に残ったのは朝会で苦情の出た商品を確認する話で、少ししか欠点のない商品なら売りたい企業と、少しでも欠点のある商品なら買いたくない消費者というように温度差が出てくるのは納得でした。相手の立場に立ち物事を決めることは商品を売るときに限らず、他人と関わること全般に通じる視点だと思い、心に響きました。

《片平ゼミ学生》

■ 世界にグローバルマーケットはないというお話、とても勉強になりました。
自分たちのやり方に固執するのではなく、むじの理念や哲学という芯になる部分を保持しながら世界のローカル市場にしなやかに適応していくことが可能であるということが世界でむじが選ばれている秘訣だと感じました。こうした戦略を上手く実行していくためには、実はむじとは?ということを深く理解していることが非常に大切だと思います。むじとは?ということを追求し続けるプロセスを怠らないことがブランドとしての統一、芯になると感じました。

■ MUJIのデザイン哲学は不変のものもあれば、時代に適合し変わりゆくものもある。そして不変の哲学を社員に浸透させること。以上のことの重要性を感じた。

■ 試行錯誤の末に生ずるノウハウがしっかり蓄積された上で、それらを企業活動の変革の動力に転換できているところに良品計画さんの強さを感じた。しかしそうした変化とは対照的にブランドという領域においては、変えてはならないところを守ることに成功しているという印象を受けた。特に外からデザイナーを受け入れたり、海外進出の際に現地の文化にアジャストしたりする際に、良いものとして取り込む部分とMUJIのブランドとして固持する部分の線引きが上手くできているように感じ、これもアドバイザリーボードの存在が大きいのではないかと思います。
また成熟期にある現代社会において、需要が多様になる中で、あえてシンプルなデザインにすることで使う人にその用途選択を託し、結果的に需要に広くこたえられるようになるという逆転の発想は、現代社会の様々な場面に適用できるアイデアのように感じたので、自分にとっては大きな糧となりました。
普段からMUJIの商品を使っている者としては、大変意義深い講演でした。ありがとうございました。

■ 高品質である日本製品が受け入れられやすいアジア、わびさびという日本流の高度な文化が理解されて浸透することが出来たヨーロッパ、ではアフリカにはどのように進出していく予定なのか、非常に気になる。

■ 経営の考え方が具体的でわかりやすかった。大学の授業とあわせて参考になった。

■ 海外展開を加速させるなかでも商品開発は日本で行うことにこだわっていた点、MUJIの哲学を大事になさっている点、またお客様の声を取り入れるシステムをこれでもかというほど充実させている点など、多くのこだわりを伺うことができました。
いつも何気無くみているMUJI商品が、厳しい審査をくぐり抜けた末商品化された選ばれしものなのだなと感慨深い思いになりました。同時に、それだけ厳選された商品の15%を年間で入れ替えていくとなると、単純に売り上げだけで商品の入れ替えを判断しているのか、それとも入れ替えについても何か審査基準があるのかなと疑問に思いました。

■ ゼミで課題図書を読んで以来、無印良品の店舗に足を踏み入れることが多くなっていました。今回松井様の講演をお聞きして、本で読んだ時よりも商品にかける社員の方々の想いをより強く感じました。グローバルなマーケットはなく、あるのはローカルなマーケットのみである、ということについて、自分の中ではまだこの「グローバル」という言葉が持つものをしっかりとした感覚では理解できていないのですが、各地の店舗を訪れて感じ取っていきたいと思いました。貴重なお話をありがとうございました。