■ 伝統ある中核ビジネスを60%から10%までリサイズする・・・その“本気”はどこから出てくるんだろう?というのが、講演をお聴きしての私の疑問でした。(あの大改革の方法論自体はある意味特別のことではないが、それをやりきることが難しい。古森さんがやりきれたのはなぜだろうか?…と)
古森さんの“熱さと気迫”に触れ、「会社(ブランド)を死守し存続させようとする」このことの原動力は、会社(ブランド)に対する“非常なる愛着とプライド”なのだと感じました。
特に、会社(ブランド)の大転換を行うためには、予定調和的なキレイごとでは済まされない“本気”が試されます。古森さんの“本気”がどこで形成されたのか、個人の資質なのか企業の文化なのか…、きっと、両方だと思います。
ブランドを創り&維持していく・・・そのための“本気”の形成がどのように行われるか、そしてどのように(組織として)育んでいくかが、とても重要なテーマだと感じました。
■ 古森さんがおられなければ、この会社の姿はどう変わっていただろうと想いを巡らせ、改めて経営というものの重さを感じました。
「知性と勇気」が必要ということは、よくわかります。小職のような小さな組織であっても、この2つのファクターは必要になります。
大きな組織の戦略を大きく変更するとき、プランニングよりも実施に対する苦労の方が多いのではないかと推察できます。そこでは知性と勇気のある経営者、求心力をもった組織、そして専門性の高い活性化した人材が必要となりましょう。まさに2000年以降の富士フイルムの繁栄はこれらが揃ったということになるのでしょう。
コダック、デジタル化という敵が見えていたことも、戦略の転換には有利な要因となったかもしれません。ちょうどご質問に立たれた後藤会長のおられた花王も、長らくP&Gを仮想敵としてこられたことは有名です。
最後に、やはり成功を収める経営者の気迫というのは凄まじいものだと感じました。自分が若手のとき、こんな上司がいたら毎日会社に行くのが、とてもスリリングでエキサイティングだと想像できます。まさに若手のリーダーとして、これから必要なプロフィールです。
■ must 変化に適応する
better 変化を先に読む(先回りする)
best 変化を創る
という言葉が印象に残った。
それを実行されているひとの話は説得力がある。
うちの会社の問題は、徹底的に欠けているリーダーシップだと
感じた。
熱い心と冷静で適切な判断力と行動力。
そのような上司はほとんどいない。
なので、それらを併せ持ったひとになりたいと心から思う。
自身はまだ下っ端なので自分の業務に落とし込んでみると
始めの一歩が見えてくる。
会社には高い技術をもった者や営業の方々で泥臭く毎日努力し、社会と利益に貢献しているすばらしい人々がいる。
が、それらの人々をきちんと社内外に伝え切れているか。
「現場」のひとたちとどうしたら相乗効果を出せるか。
実際に行動を起こすと多くの雑音が聞こえてくるが、
古森さんがおっしゃったように、上司にかみつくぐらいの
勢いでやっていきたいと、決意を新たにできた。
ありがとうございました。
■ コアコンピタンスの市場が急速になくなった時企業はどうするのか?写真フイルム業界にとって、富士フイルムにとってアイデンティティークライシスともいえる大変な事態だったのではないでしょうか。
写真フイルムの国産化からスタートし、最盛期60%あったコア事業を多角化を進めながら10%まで縮小させつつも、アイデンティティーとしてフイルムの名は残し、完全に手放すことはしなかったのは、フイルムという「モノ」を残すのではなく、「人間の感動を切り取って残す文化」と捉えればこそ、文化を残すのだというゆるぎない理念となって共有されたからだと感じ入りました。
先回の坂根さんに続き、古森さんもまた、「気迫」の方でした。
何しろご自身で(経営に必要なものは)「気迫だ!」と仰られているほど、近年見かけなくなった“モーレツ”なリーダーでした。
・信念に基づいて上層にも間違いをはっきり間違いと言う勇気。
・セカンドベストではなく、覚悟をもってベストの道を目指せ
・短期的な効率経営ではなく、業績が苦しい時期にも継続的な成長の源泉であるR&D投資を疎かにしないこと。など
ご自身の経験と実績に裏付けられた経営者としての心構えを多く語られていたように思います。なので自分のような経営者ではない一従業員が自分ごととして腹落ちするには、自分で考え、自分で行動するためのまだひと手間の調理が必要かとも思いました。
■ 部屋に入って来られた瞬間、異様な雰囲気が・・・、特に目つきが今にも飛びかかろうとする猛禽類を連想させる、正に戦う戦国武将のオーラを感じました。 その気迫は講演の最後の質疑の中で言われた「男は戦え!戦って死ね!」との言葉に象徴されるように、経営者の持つべきリーダーシップの真髄を垣間見た気がしました。 後でホームページで調べると、先進研究所の入り口には“ミネルバの梟”が飾ってあるようで、これこそご本人自身の姿だと得心しました。 フクロウは知恵の象徴でもありますしね。
講演内容としては、世界一の巨人イーストマン・コダックとの戦いなど、前回のコマツの坂根さんの話と似たところがあり、“見る”事(技術シーズの整理)の大切さや、“改革は大胆に!(戦力の逐次投入は敗戦への道)”など、経営者として同じ匂いを強く感じました。
ただ、同業他社との戦いに加え、写真フイルムという事業の7割をも占めていたコア中のコアビジネスが、デジタル化という時代の大波に呑まれて10年で1/20にまで激減する経営環境下で、そのコアコンピタンス(技術)を活かしながら、フィルムことなく新規事業に打って出て、成功させ成長を続けていることは、正に驚嘆に値します。
それとテーマの「激変する環境下での企業経営」の本質は、ダーウィンの名言「生き残るのは強いものでも、賢いものでもなく、変化できるものである」を踏まえ、“変化できる”程度では良い企業のレベルで、“変化を予測する”のがベター、さらにグーグルのように“変化を創り出す”企業がベスト、との言には参りました。
■ エスタブリッシュされた企業におけるイノベーションは、会社が危機に陥って初めて実行できるという点の好事例だと思った。「誰が」というよりは、「時機」を得れば実現できるということなのではないか。
とはいえ、危機に際して付け焼刃で新事業を検討するのではなく、10年以上前から危機の可能性を指摘し続けるとともに、研究開発などの布石を打っていた点は大変参考になった。
一方、前回の坂根さんの時と異なり、次の次の次まで見通して後継者を育成していない点が気になった。
■ コマツ・坂根様もそうだったが、実際に改革を率いてこられた方のお話しって非常に迫力がありますね。市場(写真フィルム)が無くなるという劇的な変化に対し、競争優位点の見極めから実践まで、行動力に感銘しました。質問で訊き切れなかったのは「社名はいつまで『フイルム』なんだろう、又はあえて『フイルム』で居続けるのかな」ってことでした。
気迫と挑戦のSpirit、自分もなかなか持てずにいます。恵まれ(てしまっ)た世代なればこそ、自発的動機付けをどうすればいいか、考えてします私です。
■ 急激なデジタル化でフィルム売上げが急下降する中での体制変革についてのお話はとても興味深かったです。また医療機器や化粧品、医薬品、再生医療などの分野に早くに目をつけ対応された市場を見極める目をお持ちで理想の経営者であると感じました。また現代人に対し賢い方はたくさんいるが「考えて」「決められる」人がおらずそういう人が必要だと。またどこの企業でもいわゆる経営企画部という組織があまりうまく機能していないのだということもわかりました。その他にも様々な点学ばせていただきました。ありがとうございました。自分も市場を早く見極め考えその企画内容を上層部に納得させられるだけの根拠と反骨精神をもって対応できる人財になりたいです。
■ 中期5か年計画における「構造改革(リサイズ)」「増やすものは何か?」「バラバラ経営を止める」という部分に多くの学びがありました。項目自体は他社のケースでも登場しますが、環境激変下でそれをやり抜いたことは珍しいことと考えます。古森様のリーダーシップに加えて、整理対象となる部門の中間管理職の皆さんには多くの苦労があったことと存じます。
これは結果が出たので言えることかもしれませんが、「考えて、決めて、実行する」を続けて、今なお、進化しようとするところに他にはない価値があります。
さて、前回の坂根様、今回の古森様と、その主張に近いものを感じたのも収穫でした。米国に巨大なライバルが存在して、どう対抗するか?まさに、「競争のないところに成長なし」ですね!
■ 講演は終盤にかけて本音が出てきてから俄然面白くなり、ペーパーで机を叩いたあたりから古森さんの真骨頂になった。危機を乗り越えた経営者の凄みと仕事に取り組む姿勢の厳しさを垣間見た、そんな講演だった。
今回の講演でもっとも知りたかったのは、なぜコダック、ポラロイドが潰れ、富士フイルムは生き残ったのか?それは説明にもあった3つの点、「自社技術」、「経営者の胆力」、「ダイナミックな改革と実行」の違いであると明確な回答を得ることができた。急速なデジタル化により危機を迎えた業界において、何をするべきか、なにをせざるべきかの判断を果敢に実行するのは、しびれる瞬間であろうし、それが経営者だと思う。
また、仕事に対する姿勢に圧倒的な足腰の強さのようなものを感じた。それは、氏が満州から引き揚げた境遇に居来しているように思えてならない。また、同時に知り合いの僧侶が最近云っていた、「覚悟」とは「いのちのスイッチ」という言葉を思い出した。命がけで仕事をする、それは生きること、人生そのものである。若いもん、もっとしっかりしろよ!と肩を叩かれた気持だった。
■ CI、ブランドデザイン会社(現在の「FUJIFILM」ロゴを開発した会社です)に勤務してました際、富士フイルムが化粧品事業に参入された時のブランド名称開発に参画しました。以後、フリーランスになってからも、化粧品以外にも色々とネーミングの開発に関わらせて頂いております。それゆえ、今回、片平ゼミ卒業の一クリエイターとして、会長のお話を伺える機会を大変楽しみにしておりました。
写真がフイルムからデジタルに移行し、ビジネスモデルの転換を余儀なくされるなか、化粧品に参入というのを内々に聞いたときは、大変衝撃的でした。その英断をされるのは、並々ならぬものがあったと推測されますが、会長のお話を伺い、会長のお人柄がそのような大きな決断も出来たことと感じました。一点、今回の講演において贅沢を言いますと、「富士フイルム」というブランドについての会長のお考えをもう少し踏み込んでお伺いできると思っていたので、そのあたりはやや残念でした。
最近では、高性能インクブランドの「VIVIDIA」が、小員の開発した名称です。今後も御社の事業展開に微力ながら貢献できましたら幸いです。貴重なお話をありがとうございました。