参加者の声 加藤俊男 「THE 刃物を扱って223年」

丸の内ブランドフォーラム ラウンド 16・1
第4回 5月 10日(火)
加藤俊男
「The 刃物を扱って223年」

 

■ 木屋さんのスタンスとして”共存共栄”で、取引先やお客様との長期的な信頼関係を大変大事にされていることがひしひしと感じられました。弊社も共存共栄を社訓の一つに据えておりますが、長く愛されるブランドを創る精神の一つではないかと感じました。

■ 前段がちょっと長すぎて残念でした。もう少し本質の部分をしっかり聞きたかったかなと感じた。

■ 商売を200年以上も継続するうえでの思いが伝わってまいりました。お客様の要望に応えるために技術を研ぎ澄ますとともに、先を見通した施策を講じることの重要性は大変勉強になりました。

■ ものすごく元気な89歳で、驚きました。いまだにエーデルワイス鋼など新しいことに挑もうをする気概は、どこから湧いてくるのだろう、と。
ただ、金属好きな人って、そういうものかもしれない。私の大叔父に、加藤様と同じ早稲田の応金を出てそのまま教授になった男がいました(加藤様もご存知でした)が、一緒に歩いてると急に居なくなる。で、後ろを見たら、橋の欄干を叩いてたり地べたのマンホールを熱心に眺めていたり。フェチみたいなものかもしれない。
200年企業の秘訣など特にない、というのが面白かったです。地道にやってれば、花は開くのかもしれませんね。

■ 90歳を迎えられる方がパワーポイントを使いこなし、「またいつでもお話しします」「新しい手動刃物を作りたい」「今まで使っていない会社の鋼材を試したい」と仰る姿勢に感銘を受けました。常に未来を見据え、新しいものに挑戦する意欲が加藤家の血脈に代々受け継がれて来、それが、木屋さんを時代の変遷の中でも古びさせずに進化・深化させてきた源泉なのだと感じました。
グループ内では、ブランド論やマーケティング、老舗についてなど論じずに、「切る」とは何か、「押し切る」「往復させて切る」「カンナのように削る」ことの違い、それらに向いている刃物の違い、「片刃と両刃」などについて話しましたが、それもなかなかに楽しい実のある議論でした。

■ なぜ200年以上も続いているのかという問いに対して、理由はわからないとおっしゃったが、お客様が真に求めているものを、ブレずに追求し続けてきた結果なのだろうと感じた。「よく切れて錆びない包丁」という言葉に象徴されているのではないか。
また、目指すべき姿、良い原材料の調達、製造方法の工夫などを木屋(当主)が担当し、実際の鍛造は熱意と能力のあるところに任せ、販売については番頭さんが責任を持つといった、合理的なエコシステムを構築されているところも、素晴らしいと感じた。
個人的には、紀伊国屋文左衛門の下りが印象的だった。

■ 刃物を扱っているのに、なぜ「木屋」なのかと不思議に思っていたら、まさか大阪で御用商人だった木屋の初代林九兵衛が、家康の招きで江戸へ下って店を持ち、そこで大阪と2つに分かれたため、姓の林を2つに分けて「木屋」と称したとはビックリ。 その他にも流石200年以上続いた老舗だけに、歴史的なトリビア満載のお話と、会長の専門である金属工学にまつわる話がメインでしたが、肝心の「木屋」のビジネスモデル、即ちメーカー(職人)なのか商社(商人)なのかがよく分からず、フラストレーションが溜まりました。 しかしそれも最後のQ&Aでスッキリ判明、要は刃物界のアップルだったんですね。
それにしても、もうすぐ卒寿を迎えられる加藤さんが、パワポをあやつり熱く語る“今日も会長”な姿に感動しました。 あやかりたいものです。

 

 

《片平ゼミ学生》

■ 創業から丁寧に木屋の歴史に沿って、刃物へシフトしていったこともよく分かり勉強になった。さびずによく切れるという分かりやすいが消費者にとって非常に重要な要素を追求する姿に、木屋のブランドの根源がある気がした。

■ 木屋の歴史の長さに、本当に驚きました。そして加藤さんのパソコンを使いこなし、これからもお客様の要望があればチャレンジすると宣言するような、挑戦する姿勢や勢いのようなものには圧倒されました。このような時代の流れに負けない心意気が木屋にあり、それが200年以上続けられた秘訣なのかなと思います。また街の変化をしょうがないと受け入れ、本店をコレド室町の中に持った柔軟性は意外で、驚きました。本店の移転も支店の拡大も、老舗なら渋るものなのではないかと思っていました。その柔軟性も生き残る理由なのだろうと感じました。

■ 江戸時代から続く木屋さんの店舗や商売の歴史を伺い、伝統の重みを感じる一方、エーデルワイス鋼のように良いと思ったものは海外からでもすぐに取り入れたり、また店舗の内装もモダンでおしゃれな雰囲気にするなど、変に伝統を意識しすぎない柔軟な姿勢が結果として長く続くことにつながっているのではないかと感じました。ただ柔軟な姿勢の中にも、「切れ味」という刃物を作る上でのコアをしっかりとお持ちであることは伺え、譲れない部分と変えても良い部分をしっかりと分けて考えて商売をされておられるのかなと思い、とても勉強になりました。

■ 老舗でありながらも謙虚な姿勢が加藤様の言葉の端々に感じられ、そのようなお人柄だからこそ木屋さんはお客様に愛され続けているのだろうと感じました。今はリニューアルされ刃物がガラスケースの中に美術品のように陳列されているということですが、木屋さんのマークが入った刃物を購入されたお客様は以前と変わらず信頼や親しみ、ぬくもりを感じながら、生活と1つになったものとして使われているのだろうと思います。貴重なお話をありがとうございました。

■ 貴重なお話、大変参考になりました。普段包丁を握る機会が少ない私にとっては、木屋さんの名前も正直なところあまり馴染みなかったです。しかし江戸時代から連綿と続く木屋さんの歴史や精神性に触れ、家庭を持つときなど自らの人生の節目に是非手に取ってみたいと感じました。加藤さんは謙遜気味に、日本橋木屋は結果的に残ってきたとおっしゃっていましたが、下請けの工房と決して慣れ合わず、高い品質を維持しているといったお話からは、ここまで人々に愛され残ってきた理由を垣間見ることが出来ました。また調子の良いときにこそ、新しい商品の探求、模索を怠らないという姿勢は、他の老舗と言われるブランドにも共通しているように感じました。今回のお話は、経営者・仲買人としての視点で語られましたが、次の機会があれば、実際にブランドを背負って接客を行っている方もいらっしゃるとまた別の切り口で「木屋」の姿が見えるのではと思いました。

■ 「切れ味」という、数量にデータ化できないものを追い続け、刃物にこだわりつづける木屋さんの姿勢が非常に印象的でした。よく言われていることではありますが、木屋さんのような、職人魂こそがいいものを作り続けられる秘訣なのだなと改めて感じました。

■ 学生で一人暮らしのものにとっては刃物にはあまり馴染みがありませんでした。今回お話を聞かせていただき、刃物がどういうふうに変わっていったのかなど、日常暮らしているだけでは知ることが出来ないことを聞くことが出来ました。また、数値化ということで機械を使って切れ味の数値化を行ったという話は、特に自分の中で一番印象に残りました。

■ 十組問屋から出発し、刃物に商品を絞ってからも問屋時代の目利きを保っている姿勢が非常に面白いと感じました。刃物の研究にぬかりがない点も勿論素晴らしいと思いますが、その技術や知識をモノに落とし込める職人を見出し(あるいは養成し)信頼関係を構築しながら何百年も商いを続けてきた点には、商売人としての目利きの性格が色濃く出ているのではないかと感じました。

■ 質疑応答において、200年以上続いている会社を経営できる秘訣を聞かれた際に、わからないと謙虚に純粋に仰る姿に日本橋木屋の真髄を見たような気がします。目利きを妥協せず、良い刃物を作るために大切なことを教えるという姿勢を貫いたことがこのブランドを作っているのだなと感じました。質疑応答では、加藤さんの考えや人柄に触れれて、大変興味深かったので、もう少し質疑応答の時間があれば、と感じました。

■ 「質問をいただいても、わからないことはわからないとはっきり申し上げます」という加藤氏のお言葉を聞いて、刃物に対するそのまっすぐで誠実な姿勢こそが、日本橋木屋が200年以上も続く所以なのだと感じた。また、木屋は自らが刃物生産に従事する職人集団ではなく、幾つかの優秀な下請け工場から選りすぐりの刃物のみを取り寄せる目利きいわば商社のような業態であるということを知り、すごく勉強になった。

■ もう少し片平先生との対談のような形を増やしたほうが楽しかったかもしれない

■ 江戸から連綿と経営を続けられる秘訣のようなものをお伺いできるかと思いましたが、実は先代当主でもそれと実感できる何かがある訳ではなかった、ということが大変面白かった(interesting)です。