参加者の声 河本宏子「お客様と仲間の笑顔を最高の歓びに」

2015年11月11日(水)
「お客様と仲間の笑顔を最高の歓びに」
河本宏子 全日本空輸 常務取締役執行役員

 

■ 普段乗客として利用するときは、価格やお得な条件だけに目が行きがちだが、航空会社によって提供されている様々なプランには、それぞれ確固たる理念があることを知った。そうした理念の存在こそが、ブランドのブランドたりうる所以なのだと思う。
また、男女問わず、気がついたことを「声に出して言う」ことが許され、人目につかない努力が認められる職場の空気は、サービス向上のために、非常に大切だとも感じた。

 

■ 河本さんのお人柄のすばらしさと経験に裏打ちされた自信がにじみ出るすばらしいお話でした。
自分がかかわった事業でなくても、その志に共感し、「応援」しようとされていることがよく伝わりました。経営層の中に、こうした熱い心とお客様視点を忘れない方がいらっしゃる会社の強さをひしひしと感じました。
ご紹介いただいた取組の中では、787便の事故の際の経営判断、ギャラクシーフライトを各部門が協力して実施にこぎつけたこと、BLUEWINGの活動にお客様も参加して一緒に応援するしくみをつくっていること、などが特に心に残りました。
最後の「私が一皮むけた瞬間」のお話もすばらしかったです。仕事をしていくうえでとても参考になりました。

 

■ ANAのことはよく知っているつもりでしたが、初めて聞く話も多々あり、参考になりました。
もう少しブランドと関連させてお話をお伺いできれば、もっと学ぶところがあったと思います。

 

■ 以下が大変心に響きました。どうもありがとうございました。
・ぶつかりあうとしても、言葉にして発信しないと伝わらない
・従業員が志を持って仕事を楽しむことが、良い会社つくりにつながる
・互いに応援しあう風土つくり
・Creativity is not an Occupation. It is a Pre-Occupation.s

 

■ ボーイング787緊急着陸のお話を伺い、安全と安心の違いをきちんと認識され、お客さまが安心と感じるようにお客さまの気持ちに寄り添う企業姿勢に感銘を受けた。

 

■ たくさん学びがありました。歴史とブランド、声に出す風土、一言添えるコミュニケーション、観察力、仲間へのリスペクト、チーム力、ブランドは掛け算、できる理由を探す、努力と挑戦、鈍感力、などなど、本当にありがとうございました。
また、河本さんご自身から「安心あったか明るく元気」が溢れ出ていて、本当に素敵でした。すごくパワーをいただきました。ありがとうございました。

 

■ 「あんしん、あったか、あかるく元気」を地で行くような、河本さんは伝道者<evangelist>なのですね。
だいたい経営TOPの方をお招きしての講演でははじめに社の概要説明やら歴史やらの説明が入るのですが、“原稿棒読み?”かと感じることもあり、それは何故なのかと考えますと、講話のマクラであり、スピーカーの伝えたい本論ではないからなのだと思います。翻って、河本さんの立て板に水のお話しぶりはANAの理念を自らの血肉とし体現されているご自身のことばであり主旨であるからだと思いました。
経営理念や行動指針は額に入ったお題目になりがち、ビジョンは収益目標になりがちですが、河本さんのようなリアル“行動指針”がリーダーならばこそ、全社員の気持ちをひとつにすることができるのだと思います。TOPが自ら範を垂れるは社員のマインドセットにも有効ですが、理念なり指針なりが仕組みや仕掛けとして制度化され、実践され、一時のキャンペーン的なものでない継続的な営みとして具現化される効能のほうが大きいのではないかと。提案ができる制度には提案を受けとめる度量があってこそ、実現します。
個人の感想ですがANAにはいつも何かやってるイメージがあります。
スカイメイト、国際線就航、マリンジャンボ、フラットシート、安全教育センター、バーチャルハリウッド、ギャラクシーフライト、STAR WARS…。お話をお聴きして幾つかが提案によるものだと知り、「挑戦し続ける」まさに理念を実践される集団なのだなと、呻るばかりです。

 

■ 我々の席のあたりで「飛ばしたところを聞きたい」と騒いでいたのですが、太田さんが声を上げて下さったお蔭で、最後に一番良いところを伺うことが出来ました。
同じように思っていらっしゃった方も多かったと思いますが、一歩前に出る勇気が持てなかったのでしょう。
逆に言えば、私たち「古株」だからなせる業だったのかもしれません。
ANAを語る中でも既に、河本さんご自身のお人柄、お考えがにじみ出てくるようでしたが、実際に伺った一皮むけた経験は、実に心動かされるお話でした。
会社について自分の言葉として語れることは、直接謦咳に触れることが出来た先人から伺った言葉と、自分見、聞き、体験した「一次情報」だけです。
昨日、河本さんという素晴らしい語り手から伺ったことは、「一次情報」に近い新鮮さで皆さんの心に伝わったと思います。
先月、成田→シンガポール、ホーチミン→成田とANAに乗りました。

 

■ 女性特有のソフトな雰囲気のマネジメント層の方をあまり拝見したことがなかったので、今回のお話は新鮮であったと同時に、そこから女性がマネジメント層に入る意義の様なものを感じた。

 

■ 1974年、羽田空港からPanAm航空で米国に渡航したときから40数年。全日空の歴史のお話と自分の経験がダブり、感慨深いものがありました。「できない理由を探すのではなく、できる理由を探す」ということを実践しているANAの社員や役員の方に大いに刺激を受けました。お節介と思われても部署の垣根を超えた活動をしていきたいと思います。

 

■ 河本さんは、女性なのに(この表現が既に差別的ですが)常務取締役にまでなられているので、今流行の“D&I”とか、ANAにおける“女性活用”の仕組みとか、苦労話なのかなと思っていたら、全く違って正に人間“河本宏子”氏のお話でした。 そのお話の構成は3つのパートに分かれていて、Part1:ANAの努力と挑戦の歴史、Part2:私が一皮むけた経験、Part3:大切にしている風土、だったのですが、なぜか(時間の関係? or あまりに個人的でこの会に相応しくないと思われた?)飛ばされたPart2を、質疑の後にお願いしてやってもらったら、それが最も感動的というか、示唆に富むものでした。
国内線のCAとしてスタートした河本さんが、国際線への異動を申し出た時に1枚目の皮がむけたそうですが、その時の「見てくれている人がいた」喜びとか「以心発信伝心」とかが、会社の拡大・発展とともに希薄化する企業風土・理念を浸透させる仕組み(ex.グッド・ジョブ・カード)につながっているのだ、と納得しました。 それにしても5枚もの皮をむける経験をされたのは、ご自身の昇進に伴ってのようなので、やはり“地位は人をつくる”ですね。 それと終わった後に以前MBFで講演されたコンシェルジュの阿部佳さんと同じ匂いを感じたのは、元CAだけあって“人をもてなすプロ”だからなのでしょうね。

 

■ 狙い: 当初、業界2位を宿命付けられていたANAがなぜその位置に甘んずる事無く展開できたのか、その要素を、また女性役員としての考え方も当事者から伺う 。
表題「お客様と仲間の笑顔を最高の歓びに」Let’s make History
背景 ANAにブランドという考え(認識)が無かった1990年頃からの片平さんとの付き合い
内容:
①     ANAのビジネスの現状と展開
*紹介ビデオ 60年の歴史 お客様のため 笑顔イノベーション
歴史 設立 1952年 日本ヘリコプター(NH)として発足、
その後航空機による旅客輸送を開始
民間の航空会社としての矜持を持ち、設立時 3つの理念有り
-1高潔であること
-2権威に屈することが無い 主体的な企業
-3独立独歩出来る企業
国際線への進出 1986年 果たすが、ずーと赤字で国内で稼ぎ支える
現在
スターアライアンスで海外エアラインと提携拡大
2013年ANAホールディングスとしては旅客・貨物、グループ内でLCC2社の運行実施
グループ 3万3000人
②     ANAの特異点とは
-1 1955年のCA搭乗勤務から女性が現場にいる=最初から女性が馴染む会社
高島屋、資生堂と並んで女性が活躍する会社
-2 経営理念と安全理念の両輪
*安全に関して隠さない、人は誰でもミスを犯すもの
*状況を知るには「お願い」「報告」「感謝」 気付きを声に出す
*エラーチェーン「事故は1つのエラーのみが原因となり発生することは稀で、いくつものエラー(事象)がチェーンのように連鎖した結果として発生すること」を切る事が大切
-3 社内での試み、
*深夜便(沖縄ギャラクシーフライト)、
*提案制度(バーチャルハリウッドプログラム):大衆は驚かせる企画と実施)
*Blue Wing(ブルーウィング)は、社会の変革に挑むチェンジメーカーを支援するプログラム(ホームレスのサッカーチームの運営者の支援 など)
③     ブランドの要素は?
ANAとは、本人談「あんしん、あったか、あかるく元気!」
JALに次ぐ2番手企業から出発し、独立独歩の気風、安全運行と社内革新の会社
結果 スローガンのイメージ「あかるく元気!」に繋がると考える
④      航空業界特有の「枠」に政治が密接に関係し、岡崎嘉平太(2代目社長)が周恩来との関係で中国便を開設出来た。
⑤     まとめ 強みと弱み
* 有ってはならない航空機事故、ダメージの大きさからも安全第一
* JALに負けないという気概が革新へ向かっている 非親方日の丸
* スターアライアンスの中での海外の認知度が低く、機内サービス、乗客の満足度向上
最後に 社員、中堅、部下持ち、管理職、役員時代と自分のキャリアを実感込めて話された内容は説得力がある。
以上

 

《片平ゼミ学生》

■ 河本さんの講演全てが非常に勉強になりましたし、非常に感激し自分も頑張りたいと強く思いました。交通インフラの会社として安全を掲げることは当然ですが、個人でも企業でも当たり前のことをすることほど難しいことはないと思います。それを経営理念のレベルで掲げる徹底度合いは非常に素晴らしいと思いました。また河本さんがANAが好きだと仰っていて、働いている人こそが愛することができる企業こそ強いブランドであるのではないかと思いました。お客さんも働いている人も幸せな会社ほど素晴らしい存在はないと思いますが、そういう存在をサステナブルなものとして存続させることは同時に非常に難しいと思いました。

 

■ 気付いたことを声にする、各部署が協力して新しいことに挑戦していく、という風土が河野さんのお人柄を通じて非常に伝わってきました。トップダウンではなく、現場の声を尊重し、常にサービスの改善や新たなプロジェクトの考案を、志を共有して行っていくからこそ、顧客に親しまれ、企業としての持続的な成長も可能になるのだと思います。
ありがとうございました。

 

■ 安全を経営理念と並列して掲げるほど最重要視しながらも、同時に新しいことに挑戦しつづけるANAの姿勢は素晴らしいと感じました。またGalaxy Flight等の斬新な企画を実現に移すまで、アイデアを出してからそれを具体的に詰めて行くまで個々人の努力だけでなく他部署との協力が不可欠だと思うので、非常に柔軟かつ風通しのよい企業風土なのだなと感嘆いたしました。特に河本さんご自身が「自分の気づきを声に出」し、そして部下にとっても声を出しやすい環境をつくれるよう思考を重ねていらっしゃったように感じました。ANAという会社や共に働く仲間への愛に溢れたご講演で、非常に楽しく聴かせていただきました。ありがとうございました。

 

■ 就活の選考でも何度もANAの施設に伺い、社員の方とお話をしてきましたが。どこをとってもまさに「ブランドは掛け算」であり、「一貫性が大切」であることを痛感させられるほどみなさんからどこか共通した匂いを感じとっており、今回のお話もまさにそうでした。
ただ、経営理念、安全理念あたりが乱立している状態がどうしても気になりました。

 

■ 安心安全を特に大事にしていらっしゃることが非常に印象的であった。航空業界は機体で人々の命を預かるため、特に安全性が消費者から求められている。一度事故を起こせば一気に会社としての信用を失うばかりか、これからインバウンドの観光客を見込む日本にとっても、国としての信用を失う要因になり得る。現場で何かの異変に気付いたら、どんなに些細なことでも、どんなに強い上司に対してでも必ず報告するという、「隠さない」企業文化は特に素晴らしいと感じた。これからも安心してANAの飛行機に乗れると思った。

 

■ ANAという企業の考え方の素晴らしさを感じたのはもちろん、それを誇らしげに語る河本さんの熱さも素敵だった。企業文化としては現場の声を取り入れる顧客・現場志向、リーダーの地位にいながら新しい企画に挑戦し続けるチャレンジ精神に感心した。良好な状況に甘んじない姿勢の大切さを感じた。河本さんの「ブランドは掛け算」という言葉は印象的だった。確かに1つでも0があれば0になってしまうというと油断は禁物な厳しいものであるが、相乗効果とも言うように良いもの同士が掛け合わさると大きな効果を生むのかもしれないと思った。

 

■ ANAが創業時から思いや理念といったものを失わずに現在まで日本の航空業界を牽引してきたことにとても感動しました。私の班ではNEXCOと本田技研の社員の方が、「安全」という交通業界では当たり前の理念は当たり前であるがゆえに忘れられがちである、と話していました。専門的、技術的な側面を重視すればするほど、目的が「ヒト」から部品などの「モノ」やデータになってしまい、本質が見えなくなる。しかしそんな中ANAは現場の声を常に聞き続け、大事なものを見失わずにやってこられた、この事実に心を動かされました。