黒田 正人(ロイヤルシルク財団)「ASEANと日本の『三方よし』 」
■ 上下方向では無く、互いのメリットになり、結果的に地域活性化に繋がる取り組みの着眼点にハッとさせられました。
また、今後東京五輪に向けて、特に日本の地方でも
このようなエッセンスをうまく取り入れて、活性化をできるのではを思います。
ぜひ素晴らしい取り組みについて、地方自治体と共有の上、繋がる輪を形成していき、促進していただければと思います。
■ ASEANと日本の「三方よし」というテーマでしたが、躍動するASEANで奔走されている黒田さんの事例を、自分が関与している地域興しに重ね合わせて拝聴していました。
「上から」の支援ではなく、また「下から」のないものねだりでもなく、それぞれが持つ特性を再発見し、それを輝かせるための他のファクターとの繋がりを探し、活用していく、という営みは、国の内外を問わず共通するスキームだということを再確認できました。今後の実践に活かしていきたいと思います。
■ 黒田先生の講義
「ないものねだりからあるもの探しへ」が大変共感しました。
商品化でうまく行かないケースではないものねだりと他人の批判がよく出てきます。あるもの探しから互いの気付きで新しい創造に繋がります。
これが一番お金がかからず短期間に商品化できる方法と思います。
大変参考になりました。 ありがとうございました。
■ 一過性の支援ではなく、現地に産業をおこし、しかも付加価値のある産品をつくり、さらには他の地域に技術を教える過程を通して、現地の方のプライドを高めていく手法に心を打たれた。
素材×技法、すでにあるものを活用、捨てられているものを活用、というのは誰でも考え付くことではあるが、具体的に何をどうすれば付加価値のある産品に結びつくかということには、黒田さんならではのノウハウがある。知識や経験だけでなく、結びつける発想の柔軟さなど、黒田さんの頭脳を移転することは確かに難しいだろうと感じた。
翻って、経済面だけが豊かさの条件ではなく、ましてや幸せの前提ではないこと、先進国と途上国の経済格差は縮まったとはいえまだまだ大きく、国内での格差も拡大していることなどを考えたときに、モノの豊かさだけではない新しい「幸せ」の定義を、日本人も考えていく必要があると改めて感じた。
■ ・生きのよい話に胸躍る反面、過去の歴史がどのように日本とアセアンの関係に今後影を落とすかが気になった。
・もちろんアセアン諸国の発展、躍動に水を差す気はない。その中では多少割を食っていたり、後れを取っている国々がもっと発展することさえ期待する。
・ただ、そのことは日本との関係を単純に豊かにし絆を深めることにはならない(と思う)。
・既に東アジアで、中国や韓国との微妙な体験を我々はしている。かの国が豊かではなく近代国家として未発達の時代には経済協力や通常の人的交流で十分国際関係がバランスしていたかに見えた。しかし、彼らが豊かになり、近代国家としての自覚を国民ともども強く持つようになって二国間関係は難しくなっている。
・課題は、今この時点からより良い未来に向けての活動が望まれる、ということだろう。黒田さんをはじめ多くの若い諸君に期待したい。
■ BOPに対する取組みは、①ODAや寄附と言った施し②技術力の移転による援助(例:日立建機の地雷除去)③途上国女性に技術を教えて手工芸品を先進国に輸出する といった進化を経てきたが、更に進んで今やここまで来ているのかと驚いた。
ASEANはそれぞれの国が全く異なる文化、政治・経済状況にありひとくくりに出来ないことは最近現地に赴く機会が増えて肌で感じる。Always三丁目の夕日の世界+スマートフォンの驚異的普及というマーケットでこれから何が起こるのか、何が起こせるのか興味は尽きない。右肩上がりが遠い記憶になりつつある日本の若者に、今日より明日が豊かになると確信しているアジアの若い熱気を是非じかに感じて欲しい。
■ ブランドという観点から、森作りについて非常に参考になると感じました。
■ いや~スゴイ人ですね。 最初こそ、当方にロイヤルシルク財団に関する予備知識が一切なく、また黒田さんが話された活動例がASEANの色々な国に跨っていて、そちらの基礎知識もほとんどないため、理解が追いつかずに少し戸惑いましたが、次第にどうしてこんなにアイデアが出るだけでなく、アクティブに行動できるのか、ひたすら感心しました。
中でも、「地域再生」のキーは「無いものねだり」から「あるもの探し」への発想の転換だとか、捨てていた未活用資源の活用、さらに新しい付加価値を持つ新商品を開発するための素材×技術のマトリックスなど、企業における商品開発にもヒントになるお話が満載でした。
やはり、アイデア出しやアドバイスだけでなく、自ら行動して成果を挙げている黒田さんだからこそ、あちこちから引っ張りだこに・・・、さすが「汗やん」と言うことでしょうか。
■ 最近ブランドと関連性のないレクチャーが多いと苦情?があるらしい?ですが、ブランドは一夜にして成らず。不摂生な生活を省みず効きのいいドリンク剤はないかと問うようなもの、一見関係のない文脈のなかから、隠れた金言を拾い上げることができるか、その修練の場と捉えては如何でしょう。
最終的に目指すべきゴール=本質の追求と、短期的に目指す目標=収益。
長期的な理想を語るのみのブランド論が理解を得られず、短期的な収益を上げるための直接的な方法論に駆逐されて挫折するといった構図とも一致して、これらの一見相反するテーマをいかに両立し接続させるかの格好のケーススタディーではと傾聴しておりました。
黒田さんのお話、真骨頂は「発想の転換」であり「視点を変える」ことだと思います。
着目されていない部分に目を向ける、観かたを変える、
(害虫を)殺さずに(産業に)育てる、
捨てているものを資源に使う、
etc..
今までの思い込みから離れて、隠れた実を見出し、益に変換する。
ピンチはチャンス、デメリットはメリット。
ヒトの目にはBlind Sideが必ずある、いかにして見えていない事象に気配を感ずることができるようになるか?未来への課題と現在の問題を考えるとき、「発想の転換」「視点を変える」ことを意識すること。お話から頂きました。
■ 日本とASEAN諸国の関係については、時代の変遷の中でその国によっていろいろな捉え方があるだろう。軍国主義の台頭する戦前戦中に日本がASEAN諸国に対して行った行為はただの侵略なのか?それとも欧米列国の植民地政策からの解放だったのか?そして戦後、日本が高度成長を遂げてからのODAによる援助は、ASEAN諸国の真の発展のためであったのか?それとも日本政府による援助という大義名分を掲げた日本企業のための利益還元政策であったのではないか? それぞれの国の民にはいろいろな複雑な思いがあると思う。
丁度今年は戦後70年という節目の年に当たる。今まで日本はASEAN諸国に対し常に上から目線で教えてあげる、援助してあげる、という姿勢で悪くいえば国際社会における善人イメージの構築的なお付き合いが多かったかと思われる。
よってこれからは、一緒に対等にモノを考え創造していくという姿勢がもっとも大事になってくると思う。この姿勢こそ日本がASEAN諸国の一般民衆にまで真に受け入れられていくことになるだろう。
とは言え、まだまだ知識も技術も経験も乏しく未熟な国が多いASEAN諸国。黒田さんが試みられたように、産業として育ち、発展につながりそうな「種」をヒントとして与え、共に考えて作り上げていくという姿勢『三方よし』は大変評価できる。
一方、今お隣の国の海外進出のやり方が各方面で問題視されてきている。援助というニンジンをぶら下げ、実は自国に利益をもたらすことを大前提とした仕組みをつくりその国の経済を牛耳る『一方よし』は、いつか大きな非難を浴びるようになると思う。
やはり、人として生まれた以上「至誠一貫」でありたい。
■ 新しい国でビジネスをする場合は売り物をそろえるのは言うまでもなく
ひと、文化、考え方、言語を理解することが必要である。
たとえば
「働く意味」というものはとても難しい質問だ。
自己研磨自己実現のため、お金のため、生活のため、国の発展のためなどいろいろあるがそのことも含めて考え方を理解する必要がある。
なるほどと思ったのは、「平等」の意味が日本人が感じるそれとは異なる
ということだ。
たとえば、災害にあったひとにほぼ一律の給付金を渡すのは日本のやり方だがインドネシアの村で話合ったとき、彼らは
「このひとは漁師だけど船がやられたので多くのお金を付与すべき。」
「このひとは家にひびが入っているだけだからこのくらい」
「このひとはお父さんが亡くなってしまったから最も最優先で」
など「平等」に分けるという意味はそれぞれの被害の大きさで大きく
変えるということだった。
また、「素材」と「既存の技術」のマトリックスは非常に面白い。
これは古来日本が得意としてきた分野だと感じる。
日本がASEANでできることはたくさんある。
ASEANは2015年今年、ECのような経済共同体となる。
市場として大きな市場となる。
日本が彼らにそっぽを向かれる前に
(まだ尊敬を集めているうちに)ひととしてつながるべきだと
感じた。