参加者の声 ベルナール・デルマス氏   日本ミシュランタイヤ株式会社 代表取締役社長; 在日フランス商工会議所会頭

■ デルマスさんは本当にミシュランを愛してらっしゃるのだなあと感じました。1977年までミシュランが標識などを作っていたのは本当に驚きであり、空気入れタイヤの発明から現在におけるイノベーションがすばらしいと思います。

ミシュランはイノベーションを通じて、「より持続的なモビリティの発展に貢献する」「ひとを幸せにする(Delight the customers)」という言葉たちがわかりやすく、心に残りました。
繰り返し繰り返し唱えることが、ひとのこころと頭の中に残っていくと実感しました。

お客様が望むものだけではなく、将来何を望むかを考えて先をいくことがイノベーションであり、たとえその時は実利が出なくても
イノベーションを続けることが必要であると共感しました。

ただ一つだけ思ったのが、このミシュランが大切にしているもの・DNAをどのように一人ひとりの社員が理解し、行動や業務に落とし込んでいるのか、知りたいと思いました。

■ 事前にカプフェレを読んでいったのだが、確かにヨーロッパのブランド観はアメリカと違う。作るのではなく、一所懸命やってればお客さんの頭の中で自然と出来上がる、なんだかCraftmansshipに通底するものを感じました。ユーザーが経験することが全ての始まり。それは分かるのだが、タイヤを意識して車に乗ることは普通ほとんどない。乗り比べることはもっとない。何かあっても意識するのは自動車本体だけ。こういったタイヤの財としてのDisadvantageをどう克服するかが悩みどころなんだろうな。
しかしデルマスさん、カッコいいし素晴らしいキャラですね。日本語うまいし。ミシュランタイヤの社長というより「ミシュランガイドの発行人」としてTVに売り込めば、絶対に人気出ると思う。その上で「実はタイヤの社長なんですよ」ってなれば、ガイドとタイヤのイメージ連結も可能なんじゃないかな。部外者の勝手な思い込み(^0^)”,昨日のような掛け合いスタイル、素晴らしいと思います(もちろん森田様という話術プロの腕があってこそのことだけど)。2時間がいつもより遙かに早く過ぎ去りました。

■ 昨日は、とても興味深く、熱い話をお伺いでき、本当にありがとうございました。

前回の片平先生に続く講演で、片平先生が常々おっしゃっている「ブランドとは顧客の頭の中に形成されていくもの」「ブランドであってブランディングではない」といったお話に対して、非常にがっちした、わかりやすい企業としての生のお話を聞くことができたのは、とても楽しかったです。

改めて素晴らしい会社だと思うと同時に、日本の一消費者としては、一般の消費者(特に、その会社と共に育っていない国において)に「伝える」「届ける」ことのむずかしさも感じました。

ミシュラン・ガイドについて、その歴史をお伺いしましたが、日本の一般消費者において、ガイドブックのイメージ(厳選された良い情報、評価)の日本ミシュランタイヤへの波及を楽しみに見守りたいと感じました。

自分自身の業務との関係においては、やはり、修理時間6時間→15分というお話が心に残りました。
自社業務において、顧客にdelightを提供することができるよう、delightしてもらえる新事業とは何か、(改善ではなく)innnovationを生み出そうと発想してみることを肝に銘じなくてはと思いました。
また、イノベーションによる商品は、すぐに市場に受け入れられるとは限らず、時間をかけてマーケットをつくらなければならないというお話も心にしみました。

わかりやすく、実感のこもった素晴らしいお話を本当にありがとうございました。

■ ・10世紀を通じて世界に冠たるタイヤの「ミシュラン」ブランドが、少なくとも日本では光を失っていることに、かねて残念と思うと同時に不思議に思っていた。
・そういう中で、日本の「ミシュランガイド」が発行され話題になるわけだが、実は私自身は本来のミシュランブランドの力を復権するのに役立つとは思えない。
・今回の話を聞いて改めてその感を深くした。
・というのは、ミシュランが今でもこの日本で光を失わないのは、その技術の先進性とプライドを保っている領域であるからだ。それは建機用の大型タイヤや航空機用タイヤ市場に端的に表れている。
・一般の自動車市場で改めて輝く為に、本来のタイヤ事業の中で方策が考えられることを切に願う。
・「ミシュラン」の星や「ギネス」の世界一、は一種の文化を形成しているのは間違いないが、本業とは今となっては全く別なものと言わざるを得ない。ギネスの如く、タイヤはマイナーになって、「ミシュランの星」だけが輝くようなことには決してならないことを(かつてのミシュランタイヤ信者で未だにファンとして)祈る。

■ とてもタイヤへの“愛”を感じる講演でした。後半の質疑でもありましたが、ミシュランブランドは結果として市場・顧客側に出来上がるのはその通りだとしても、どのようなブランドにしたいか、意図して目指したいアイデンティティは性能や機能で語られる傾向が強かった印象です。「トータルパフォーマンス」という訴求もその現れの一つだと思います。デルマス社長の技術屋魂にはピッタリ当てはまるのかもしれません。しかし、同じヨーロッパでも例えばピレリとは全く異なるイメージがあるようにも思えます。その辺りの議論がもう少しできればさらに良かったと思います。

また、東京にいると週末の度にクルマでゴルフに行く方々がFB等SNSに活動をアップしており、ゴルフ用品やるとモビリティが活発化するのだから一応手を出す合理性はあるのではないかと思いました。「タイヤとガイドで忙しい」とおっしゃっていましたが、恐らくやろうと思えば(技術的には)できるけど敢えてやらない、という判断なのだろうと思います。この辺りも、ブランドとの関わりも含めて少し議論したかった点です。”,,
2013/10/02,19:02:34,,124.211.38.147,,小熊彩子,非常に勉強になった,”ミシュランについては、クルマ関係の会社ということとキャラクター、そしてガイド本についてのみ知っていましたが、タイヤの専門メーカーということすら知りませんでした。

今回お話しを伺い、高い志と確固たる理念を持ち、長年活動されている企業であることが良く分かり、学ぶべきことが非常に多くありました。
一方で、あれほどの知名度のあるガイド本やキャラクターを持ちながらも、特に私のように車に特別な興味を持たない一般生活者にはきちんと理解されていないであろうことを考えると、もったいないとも感じました。
加えて、あれほどの企業であっても理解されていないのだから、私の勤務先など言わずもがな。。。ということなのですが。

ガイド本については、私の勤務先でも、高速道路の利用促進のためにちょこちょこノベルティとして作成しています。が、ミシュランのような筋の通った信念など皆無で、深く反省させられました。「旅行者が“損をしない”ためのガイド」という切り口も興味深かったです。

また、広報のご担当者様(お名前を失念してしまいました)が、社長のお話しを素晴らしい振りで引き出されており、広報のプロの手腕に感銘を受けました。

■ 一年前に、いま乗っている車のタイヤを、ブリジストンからミシュランに取り換えた。確かにグリップがよく、出足も燃費も良くなった気がしている。優れた機能を持ったタイヤであることは確かである。
しかし、日本ではミシュランを履いた車は欧米メーカーの車を除いて非常に少ない。やはり、デルマス 氏のお話のとおり、乗用車用タイヤの部門で日本では確かに苦戦されているだろう。
日本の車市場ではドイツ車のようには高く評価されている車があるのに、なぜか、一部の走り好きを除いて、タイヤ選びは少々ないがしろにされている感じがする。一般の人は、今時どこのメーカーのタイヤでもそれほど差はないし、普通に走っている分には差し支えないという意識があるのだろう。
何とももったいない。ミシュランの素晴らしさをきちんと伝え、この意識を覆す必要がある。
デルマス氏のお話にあったように、ミシュラン社には、素晴らしい創業ストーリーや先駆的製品の開発ストーリー、そして「食文化とドライブの楽しさ」を知らしめるミシュランガイドブックの存在、そして発刊のストーリーなど、伝えるべき財産がたくさんある。
それに、デルマス氏自身が日本文化通これも大きな武器になる。
例えば、デルマス氏本人が広告塔になって、これらをうまく伝えたら、機能的価値も情緒的価値も醸成され、引いては、タイヤ選びの重要性を認識する社会的価値も醸成させることができるのではないか。

■ ミシュランタイヤは、車のサスペンション開発に携わっていた身として、タイヤ開発でお付合いがあったり、またクレルモンフェランにあるテストコースを走った経験もあって、見知ゅらん会社というより旧知の、そして空気入りタイヤを発明したダンロップ同様、ラジアルタイヤを発明したメーカーとして、以前から尊敬してきた会社の一つです。 またヨーロッパ駐在中はその地図が、大陸のどの国に行く時にもドライブ旅行の必需品でした。 それだけにそのブランドの番人としての秘伝の話が、デルマスさんから出るます?と期待していたのですが・・・。
要は、ブランドを作る「秘伝のレシピ」などは、カンフーパンダ同様、無いという事ですね。 結局は一つのミッション『モビリティの長期的発展に貢献すること』を守って、イノベーションを100年以上継続させて来た結果、世界一(規模的には2位ですが)のブランドとして人々に認知されるに至ったと。 この辺りはとらやの『伝統とは革新の連続なり』と重なるように感じました。
また、“カスタマーサティスファクション”を超える“カスタマーデライト”の話や、“ミシュランガイド”が“ぐるなび”とコラボするに至った話の中で、ぐるなびはレストランサイドのサポーターであるのに対し、ミシュランガイドは旅行者のサポーターなので、競合することなく、共創によってレベルが高まる、との発想も興味深いものでした。

■ ベルナール・デルマス 氏のお話をお聴きして

一言で言えば、「分際を知っている会社」という印象を受けました。
ミシュランにとって、会社存在の意味は、あくまで「タイヤ」。
“タイヤによる移動(モビリティ)への貢献”に目覚めた創業時から一貫して、それを貫き通している。
だから、他のタイヤメーカーのように、タイや技術を応用した他事業(ゴルフボール等)に出ることもなく、常にタイヤの進化を考えているから、目先の顧客のニーズに振り回されることもない。
こうした、「自社はタイヤで社会に貢献するんだ!」という、中長期の(むしろ永遠の?)確固たる信念(=自社の“分際”に対する認識)があるからこそ、30~40年単位の「Innovation」をリードできるし、より本質的な顧客ニーズに対応できるのだと思います。
ミシュラン流「先義後利」 ・・・ 自分たちは、顧客の(目先の)ニーズのずーっと先のより本質的なニーズ(快適に移動したい・移動させたい)というニーズを、昔から知っていて、それを“タイヤ”というテクノロジーで満たそうという会社。だから、そのことに誠実に専念していけば、必ず顧客の評価を受け(ブランドができ)、企業として存続していける。
「タイヤについては、数え切れないほどの革新の種を持っている!」、デルマス氏が目を輝かせて、こう語った時、そうした自社への自信を感じました。
ありがとうございました!

■ 非常に大切な、「気づき」を頂いたと思います。「モビリティの発展に貢献」と言う、ブレない意志と、それを遂行する為の「一貫性」=イノベーションの言及、そして、理論や数字に埋没しない、ミシュランガイド創刊、企業が標識の作成、専用タイヤからブルドーザーを開発させる、ファイヤーストーン問題をタイヤ産業として捉える等々、体を張った行動力、そして、その行動を総合的に評価しているであろう、「トータルパフォーマンス」。すべてが串刺しされている、これが「ブランド」なんだと、実にシンプルに、実感させて頂いたと思います。また、イノベーションの考え方は、フランス文化そのもので、無いものは作る、「子供のおやつの一例、フランスパンに板チョコを挟んだ「汚れないおやつ」など、家庭内のイノベーションではないでしょうか?フランス文化の集大成的なブランドが、ミシュランではないかと、強く感じました。デルマスさん、森田さん、感謝します。

■ お客さまを満足させるのではなく、お客さまを幸せにすることがイノベーションである、というお言葉がとても印象的でした。お客さま自身にも見えていない未来を見据えて「タイヤにはまだまだイノベーションの可能性があります!」と笑顔で仰られた時はこちらまで嬉しくなりました。
経営者の方が素材にこだわりモノ作りにこだわられている姿って、周りや下の人間はとても頼もしく感じるものです。

「ブランドはお客さまが経験しお客さまの中で積み上げていくもの」
私自身仕事を進めていく上で、つい内へ目が行ってしまったり、短期的な視点で捉えることが多いので、このことを肝に銘じたいです。

ありがとうございました。

■ デルマスさんのご講演からは、たゆまないイノベーションを背景とした、自ブランドへの強い矜持を感じた。「より継続的なモビリティの発展に貢献する」という企業ビジョンからブレない姿勢を見習いたい。

印象に残ったのは、「ブランドはつくれない。育つものだ」という言葉。もちろんブランドとはお客様の心の中に形作られるものという認識は持っているが、「新ブランド創出」というような言葉をついつい使ってしまう。企業ビジョンにもとづいた良き企業行動の積み重ねによってのみ、ブランド価値が形作られていくのだということを改めて意識したいと思った。

ミシュランガイドに関して言えば、赤ミシュランだけでなく、緑ミシュランが普及し、日本の観光地が網羅されるようになればいいなあと思っている。個人的な経験でも、山形を旅行した時、日本版のグリーンガイドに見どころと背景にある歴史/文化情報がコンパクトにまとめられており、大変参考になった。

旅という日常を離れた体験によって、日常を見つめなおすことができる。これこそが旅に出かける醍醐味だと思う。ミシュランガイドは、魅力的な食、歴史/文化の情報で旅心をくすぐってくれる。星三つはわざわざそのために旅しても惜しくないという店や場所の印。そのような土地を訪れるための企画をしている時がまた幸せな時間なのだ。

このようにミシュランがは素晴らしい経験のきっかけをつくってくれる。自社も、お客様に素晴らしい経験を提供できているのか、またその経験と自社ブランドを結び付けられているのか、常に問い続け、実現し続けていきたいと思った。