参加者の声 高岡浩三氏 ネスレ日本株式会社 代表取締役兼CEO  永田潤氏 ダイハツ工業株式会社 エグゼクティブデザイナー

 

■「ネスカフェアンバサダー」の取り組みは、私は単なる新チャネル戦略としか捉えていなかったので、コミュニティ化も含めたブランド戦略の一環でもあるということに少々衝撃を受けました。

■今回の色々なお話で感じた事は、発信者は伝えたい事に対する思いを強く持つのは勿論の事、生活者をよくよく観察した上で、それにマッチした提案をする事、またその提案の仕方も少しだけ新しい視点を取り入れる事で、大きな動き、大きな流れを起こす事が出来ると感じました。とは言え、当たり前の事を当たり前にする難しさ、少しだけ新しい視点をどの様に組み立てるのか?等、難しい事は非常に多いと思います。様々なお話を聞かせて頂き、この様な事も身に付けてゆければと感じました。

■ネスレが100周年を迎え、MBFでも評判の高岡社長のお話は一度聞きたいと思っており、とても期待していた。しかし、冒頭で財務的な企業説明にかなり時間を割き、投資家向けのような説明は少し退屈であった。高利益率=ブランド力というアピール、それを実現した高岡社長の自負を感じたが、「ブランド・ジャパン」のセミナーでは、少しフォーカスのポイントが違う気がした。それよりも、スイスの企業が極東の国でどのようにしてNo1のシェアを作り上げたのか、その過程でのハードルは何だったのか、ブランド・マネジメントの点でローカルと本国と交渉で苦労している点は何か?。これらの経験を知ることで、日本が海外に出るとき、また出た後に直面する問題解決の参考にできる。
「アンバサダー」の話は大変興味深かった。いまどきのSNS的なプラットフォームを活用し、職場のみならず、アンバサダー間でのコミュニケーションの活性化、そしてなにより他者に感謝される仕組みを構築、オフィスに新しい文化を作っている点がすばらしい。

■ネスレのお話は、所を変えて何度か伺っており、そのためか驚きは特にありませんでした。
あらためて、しっかりした経営ポリシーと着実な実績には感嘆です。

■高岡様のお話は何度かお聞きしていますが、企業の本筋である利益率を追求し、達成される実行力にはいつも感銘を受けます。マーケティングの力を本気で信じて実践し、結果に結び付けているのはまさに王道と感じ入っています。6月のコトラー来日にてパネルに登壇されるのも、さもありなんという感じ。

■商品ブランドの管理について、昨今の個人的な課題でしたので、例により時機にかなった講演で、ためになりました。ネスレと言えば、どこかで「リブレイン」の話も聞いてみたいです。(MBFのコネクションで是非!)

■いつもながら、ブランドJAPANの調査結果は示唆に富んおり、ご講演の高岡さん・永田さんのお話も、実際の活動に基づいていて、とても興味く拝聴いたしました。

■高岡社長のお話は、ブランドでカテゴリーNo.1を狙う。できなければ、No.1になれるカテゴリーを自ら創出する。という所謂マーケティングの基本ではあるが、実行がなかなかできない事でもあり、しかし、それができれば、大きなリターンを得る事ができる事を再認識させて頂きました。一年後残らない新製品はSBでも良いとおっしゃられた部分は耳が痛いところです。メーカーにとっては、ブランドが命です。お客様の心に残るブランド作りに邁進したいと思います。

■「ネスレ日本」の高岡さんの「本当のブランド」を目指すブランドマネージメントの姿勢は流石だと感心しました。中でも為替の影響を差し引いたオーガニックグロースを重視する点や、過去十数年利益率を毎年0.1%ずつ上げている努力など、またトータルで6000ものブランドの内ビリオネアブランドは32しかないのに、他の5000以上のブランドは利益率が極めて高いので残しているとか・・・、驚きでした。さらに、利益率の低いレギュラーコーヒーの市場にネスプレッソで乗り込み、利益率30%を叩き出し、家庭用のネスカフェゴールドブレンドバリスタのオフィス展開を「バリスタ」募集という形で図るなど、そのアイデアに脱帽です。

■高岡さんのご講演では、“ブランドは誰のものか?”ということを考えさせられるとともに、日頃自分が思っているブランドの機能=作り手と需要者の「共感プラットフォーム」というスタンスと親和性が高いと感じた。また、長寿商品がさらに永らえていくためには、リニューアルの試み、時代に応じた再定義が必要なのだということを、「ゴールドブレンド」や「キットカット」の事例から強く感じた。
商品・ブランドの「軸」が変わらないからこそ、コミュニケーションのあり方が刷新されることでなお存在感を放ち続けることができるのだと思った。クライアントにも長寿商品を保有している先があるが、応用できる事例だと感じた。

■ネスレメソッドと言われ、スイスで様々な学習を積み、各自の陣営に配置されていると聞いてはいましたが、ここまでユニークかつ強固であるとは、驚きでした。・オーガニックグロース(OG)や実質内部成長率(RIG)などの独自の指標を設けていることも凄い事ですが、「言い訳が出来ない指標」と言う設定である事を、社長が講演で述べる凄さ、覚悟と言うものを感じました。また、物事の捉え方ですが、Catフードに注力する理由、「猫は少量を食し、グルメだから」、これもスイス学校の成果なのでしょうか。また、デノミ、経済不振の世界で、「いつでも値上げできるのが、本物のブランド」と据えている姿勢、カッコいいブランドの象徴だと実感しました。

■ネスレ高岡社長のお話は、昨年のマーケティング学会でお聞きしたものと基本的には同じであったが、アンバサダーの活動が急速に広がっていることに驚かされました。「ヤクルトレディを人件費なしでやとえる」という発言に象徴されるように、企業とお客様がパートナーとなって共にブランドを作り上げ、成長していく形を他に先駆けて確立してしまったネスレの底力のすごさを改めて認識しました。また、キットカットでしかできない「ブランド体験」という点も、あたりまえのことでありながら、強く印象に残りました。すばらしい機会をいただけてありがとうございました。このような刺激を得て、自社がどのように変わっていけるかが肝ですね。

■毎月私の財布から1万円札を引き抜いている犯人がこの人だとわかりました。ネスプレッソに家族で嵌っています。しかし、ネスプレッソのカプセル流通網はしぼり過ぎでは?それとも通販に誘導して優良顧客リストを作成する戦略でしょうか。講演内容としては完璧なブランドマネージメントに感服。インスタントコーヒーの商品価値の低下とともに落ちていくブランド価値をネスプレッソや中間商品のドルチェで引き上げた戦略は見事。アンバサダーは有りそうで無かったコミュニティー販売の妙。

■高い志で世界展開しているネスレ社の現状と今後の方向性を直接お聞きし弊社との対比で我々の姿を知る。
ネスレ社聴講結果
1 利益率とサステーナビリティはどの会社も永遠のテーマ
→企業の命題である事、改めて認識
2 利益率を重視
→規模、シェア重視で無い(利益とシェアは相関あるが重視点が明確)
3 ブランドの定義 ナショナルブランドとストアブランド→ともすれば 一つの言葉(概念と捉えてしまう)、こちらの見方が明確
4 新しい販路、形態に果敢に挑戦(アンバサダー)見事、過去にしがみ付かない。
得たものと考察・展開
① 2つに分けたブランド定義
ブランドの定義 ナショナルブランド とストアブランドは自らの分野で活用したい
② 果敢な挑戦姿勢 グローバル企業でも各地で必要
③ 買い物ブランドを上手く活用している
中々 自動車では上手く行かないケースが多いが秘訣があるはず、今後の自らの検討課題
感想 *具体的事例交え、飽きさせない内容、構成で 実務実践者ならでは確信を感じた。甘んじない挑戦姿勢には迫力を感じた。

■今日もいつものように出社していつものように給湯室に行きバリスタのセットをし、スイッチを入れる。そう、実は私はすでにネスカフェバリスタのユーザーなのです。昨年末に「無料で使用できる!」につられてアンバサダーに応募。以降4ヶ月になろうとしていますが、その便益はもはや無くてはならないものとなっています。このビジネスモデル、実にたくさんのブランドつくりの事例が詰まっています。
プリンターのトナーで儲けるビジネスモデルの飲料への転用のようでいて、ブランドづくりとしてはるかに優れているのはWin-Winであること。いちばんのポイントは顧客がうれしいということです。
まず、買えば7千円以上はするマシンが無料で手に入ること。その心理的「お得感」もありますが、こと職場での共同使用、共同購入となると、一般家庭で個人が買う以上にハードルが上がります。福利厚生で経費で買うのか、有志(私費)で買うのか、一人いくら出すのか、出さない人がいたらその人を除外するのか、まとめる人は大変です。無料ならそういった煩わしさはありません。次に各自がオンデマンドでそこそこ美味しいコーヒーが飲めるようになるということです。バリスタ導入以前は各自がまちまちに自前でコーヒーを準備調達しなければなりませんでした。ある人はドリップコーヒーのパックを買い置き、ある人は都度売店に買いに行き、ある人は(お湯で溶くだけの美味しくない)インスタントを従来どおり飲み、ある人はガマンする、など。ニーズはあったのにひとつに束ねられる解決方法が提供されていなかったのです。まとめ役であるアンバサダーにもちゃんとある種のインセンティブがあるということです。一杯あたりの標準価格は20円とされていますが、それだと「利益」が出てしまうのです。でも17円とか18円とかではおつりが煩わしいので誰も文句を言いません。そこにアンバサダーの自発的な工夫の余地が生まれ、モチベーションになるのです。ある人は「利益還元セール」をやり、ある人は扱い品目を増やし、ある人は儲けを手に入れ(笑)第二のポイントは、当たり前ですが企業(ネスレ)にとっても当然収益になるということです。いままでネスレは「家庭」には入っていましたが「オフィス」には入り込めていませんでした。ところがバリスタとアンバサダーのしくみによって、一気に「オフィス」でのポジションを獲ってしまった。これは私の個人的な感覚ですが、少なくとも冒頭お話したように、私の職場(20数人のユニット)のコーヒー事情をまるでオセロの石を裏返すように一変させてしまったのです。ゼロが20になったのです。アンバサダーの応募が全国7万人あったとのこと、全数がこの通りとはならないにしても新たな市場を創出したことは間違いありません。しかもそれは一過性のものではなく継続的購入が安定して見込めるのです。ネスカフェ以外もブライト、クレマトップ、キットカットまでも注文増という副産物まで得ていことづくめではないでしょうか。さらにはブランドづくりのポイント、イノベーションもちゃんとある。ネスカフェアンバサダーをブランド化(であることを誇りに思う)すること、「チャンネルのブランド化」もブランド体験としても興味深いアクションです。「インスタントコーヒー泡だて器」がハードのイノベーションなら「職場のお世話様係り」もことづくりのイノベーション。そこには「共に創る、共に楽しむ」ブランド体験がしっかりと組み込まれています。ハード屋だけの発想ではここまでのしくみは考えつかなかったのではないでしょうか。バリスタのハードはネスレの自作ではないでしょう。いずれこの開発ストーリーが書籍化されることを期待します。で、最後は結局また反省。消費者インサイトが必要だと周囲に説きながら、わが身の周囲に起こっていた出来事に講演を聴くまで気がつかなかった自分のアンテナの低さ、全然インサイトになっていなかったことに恥じ入るばかりです。まだまだです。