参加者の声 平田正浩氏

第4回 「どうして、海外で事業展開したいのですか?」
平田正浩 (㈱ポッカコーポレーション 執行役員 海外事業本部長 兼 POKKA Corporation (Singapore) Group. Chairman & President )

■ アジアでビジネスをすることの大変さと実績をあげるための具体的な活動内容を伺えて大変勉強になった。

■ 昨日の、POKKAの平田さんのお話はとても興味深いモノでした。
お話を通じて、ちゃんとよく考えればわかることなのに、日頃は主体的に(より突っ込んで)考えていないなと痛感しました。
アジアは人口が多い、近年の経済成長率は高い、これからはアジアの時代、だから将来のために進出すべき。これは(総論としては)正しいとしても、個別の事業となると、当然異なる場合もある。(いや、むしろその方が多いか?)
売価は、その国の(現在の)経済水準で決まり、原価は(近年のグローバル化の中では)国に依拠せずに決まる要素が大きくなっている。ということは、ビジネスとしては、当然、高い売価が設定できる国で行うべきだし、その意味で、(成長率は高いと言えども)アジアの国ではその対象が限られてくる。もちろん、将来への投資という観点は重要だが、だとすれば、その業種(の利益率)・その企業(の体力)毎に、アジア諸国への評価は変わってきて当然。つまり、アジアに対する評価は企業毎の色がもっと出るはず・・・。
言われてみれば、至極当然のことなんですが・・・。
きっと、自分が直接接していない多くの他の分野のことも、(新聞等の上辺の知識で)理解していると思い込んでいるに違いなく、日頃そうした上辺の理解に基づいて、種々の考えを組み立てている?自分が怖くなり、反省しました。
気付きをありがとうございます。

■ 飲料業界のビジネスモデル(コスト構造、マーケティング、販売手法、etc.)を初めて知ることが出来て興味深かったです。
特にアジア市場で飲料ビジネスが儲からない理由が良く分かりました。 ただ、そうなるとシンガポールを海外事業のハブとするより、利益の出る中東やヨーロッパに工場を含めた拠点を置いた方が効率が良いのでは?との疑問に対しては、過去の経緯があった事とグローバルな人材が既に育った事が理由のようでした。
一方、味の好みが国によって大きく異なる事や、それが中々変わらない事、さらに権力と個人主義を軸として各国の国民性をマッピングしたグラフ上で、日本はトルコやイランに近いというのも、新鮮かつなんとなく納得できるものでした。

■ 分かりやすかった。ちょうどグローバル:ローカルについて大学で授業を進めているところでもあり、一つ一つが腹落ちするお話しでした。現地完結、いわゆるマルチドメスティックな経営スタイルですよね。
砂糖の消費量は文明の進歩度と反比例するそうです。シンガポールで加糖茶(おお、加糖茶!?)が主流って、ちょっと意外な肝しますが、これからどうなっていくのでしょうか

■ なぜ海外進出なのか?を改めて考える機会を与えて頂いた。
ただ私自身こたえがないのが正直なところ。
日本の食品メーカーはこぞって海外進出している。
いったい何をしたいのか。どのメーカーもきっと大義名分はあるだろうと思うが、実際のところ縮小する日本のマーケットのサプリメントとしての位置づけが見え隠れする。
今回、平田さんのお話をお聞きして、国内にいる海外事業をコントロールする部署のいいなりになる人間に現地責任者は務まらないだろうということが良く解った。まさに職商人としてのこだわりを持つことが成功の鍵だと思いました。

■ ガバナンスとマーケティング。本部機能と地産地消機能。
当たり前のようだが、なかなかできない。
どうしてもグローバルを考える企業は、プラットホームベースで考えてしまい、現地のニーズと乖離してしまう可能性がある。
そういう意味で、ポッカ様の戦略はツボに入っていると感じた。
販社代理店を通さず、現地サプライヤーと直取に舵を切ったことは、並大抵のことではなかったと思うし、そこの根底にあったのは、販売価格=コストの考え方にある。
戦略・戦術を考えるうえで、非常に大切なことてあり、基本中の基本を振り返ることができた。
ポッカ様は、決して中小企業ではなく、戦略と言う意味で大企業である。

■ 異文化とのコミュニケーションが重要であり、その国に合ったモノづくり、ことつくりが必要と感じました。
・日本を押し付けようとしない事。
・海外に出るのであれば長期視点が重要になり、何を狙うのかを明確にしないと失敗する。
(特にアジアは単価が安いので、短期視点では採算ベースには乗らない。)”
どちらともいえない “当社とは異なる業界の話した聞けて、参考になることが多々ありました。同業者の方が聴講しているので、話せる部分に絞りお話しいただいたと思いますが、飲料業の流通や他社との競争、マーケティングに関しても勉強になりました。
ありがとうございました。
「なぜグローバルなのか?」の明確なお考えが何かが私には理解できなかったのが残念でした。
印象に残ったワードは
海外事業の拡大は、日本事業の縮小のサプリメントではない。
です。
シュリンクする国内の穴埋めとして海外に出る様な事を考えると、国内の焼き直し程度の製品を海外でどう売るか?というロジックになってしまいます。
他社ができないことにチャンスを見つけチャレンジする精神と
地域ごとのマーケット(市場、お客様、流通)を正しく理解し
戦略を立てられるスキルが国内、海外問わず必要と感じています。
(地域地域の集まりがグローバル)。

■ 徹底的にローカル化にこだわられており、おごりもなく、本当のお客さまをきちんと見つめてらっしゃるのだと感じました。お客さまが求めているものを提供する、当たり前のことですが企業側の思い込みや押し付けで当たり前のことができないことが多々あります。アジアだから、海外だから、ではなくどの市場でも真摯に取り組むべきことです。
また、肌の色が似ているので何となく我々と考え方や行動が似ていると錯覚してしまうというお話ですがごもっともです。「人を見た目で判断しない」経済活動の前に、人として大事なことですがついつい忘れがちになってしまうことです。
実際に体験されている平田さんのお話をお聴きできて本当に勉強になりました。ありがとうございました。

■ 平田さんのお話の中で、印象に残ったのが次の4点です。
①素朴な疑問を持つこと、例えば「何を目的とするか」を明確にすること
②企業(集団)はできていないことをスローガンにしている(冗談半分におっしゃっていましたが、結構真実かも、と思いました)
③原理は単純、ただ、複数が絡み合ったり、並行に進んだりして複雑に見えるだけ。丁寧に紐解けば単純化できる
④譲れない部分は何か?譲れるところは何か?

①は簡単そうで難しく、②は冗談半分に仰っていましたが、結構真実かも、③は仕事への心構えとしても役立つ、④はブランドの観点からも重要であり意識すべき点だ、と思いました。特に④は「譲る」という潔さを持ちたいと思います。

■ 講演内容は大変興味深い内容でありましたが、私の勤務先の業務内容に海外事業に該当するものがありませんので、自身の仕事内容と照らし合わせた場合にどう解釈して良いのか、戸惑いがありました。
ただし、一見、海外に活路を見出すことが有効であると思われがちである反面、その裏に横たわる事情に接することができ、新鮮でした。

■ アジアでの事業展開について、実際のビジネスのお話から数字などもまじえ、分かりやすく、そしていかに厳しいものであるかを明確に言いきるお話しは、斬新でした。
最後にいまの日本企業に対し、売り上げを伸ばすことよりもコスト削減に重点をおいており、内向きであることを示唆していらしたことも、印象的でした。
また、以前商社にいた者としては、メーカーの方々が現地に入ってやってらっしゃるのに対し、商社の駐在員の意義はどうなるのか、というの点が気になりました。もちろん、商社でないと出来ないこともあるかもしれませんが、人件費の高い商社はたちうちできないのではないか、と。
アジアには最近行っていませんが、機会を見てシンガポール、香港、インドネシアなど久しぶりに行ってみたくもなりました。
お忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。

■ 平田さんのバイタリティとスピード感、決断力に圧倒されました。かなりの御苦労があったと思いますが、浪花節にならない、淡々とした話しっぷりと、海外進出の心得など非常に分かりやすい素晴らしい講演でした。
片平さんもおっしゃっていましたが、20年前なら海外赴任希望者はかなりいたものですが、今は海外要員を育てるのも赴任させるのも大変です。欧州北米ならまだしも、その他は希望者が少ないものですから、可能な限りのインセンティブを付けて赴任させるという話を最近よく聞きます。
無理して赴任させるとすぐに辞表が出てきます。
さて、新興国に派遣する要員確保も大変ですが、コモディティ商品の場合、海外進出の成否は、その地で企業・商品を問わず如何に早くブランドを確立するかにかかっています。
言うまでもなく、他社との差別化が可能な圧倒的機能をもつ商品ならまだしも、コモディティの中に埋もれてしまいそうな商品の場合、地縁を頼って地を這うようなローラー作戦をやっているとか各社御苦労されているようです。
とは言え進出国で目新しい商品や新機能を付加した商品を出すことにも大きな障害があることがあります。
徹底した機能訴求と個装という安価な形態で売り出して成功したシャンプー、せっけんもありますが、これは効果がすぐに確認できるゆえに比較的に短期間で浸透させることが可能でした。
しかし、新しい機能、付加価値を持ちつつ効果が確認しづらい商品もあります。この場合、進出国のバイヤーへの啓蒙の困難さや、その国の法律が壁となる場合があるのです。
例えばその機能を備えた商品がその国にはないとすると全く違ったコンセプトの商品でありながら、その形状とか使用方法で簡単に既存のカテゴリーに入れられてしまう事が多々あるのです。
結果、その商品は、スーパーのそのジャンルの棚に置かれ、埋没してしまうのです。
これを覆すには相当の力仕事が必要です。一つは、その優れた機能ををバイヤーに理解してもらうこと。そのためにはかなりの時間と辛抱が必要です。よほど理解が進まないと別の棚は用意してくれません。もう一つは、カテゴリーに関する法律を改正させることです。これはもっと難しい。縁故をつたってその筋の政治家に対しロビー活動を行ったとしても簡単には行きません、というより不可能に近いことに挑むことになります。
平田さんもいろいろと御苦労されて来たことでしょう。頭が下がります。しかし、このような話を聞くとますます行きたがらない若者が増えてきそうで、ますます困ったものです。
とは言え、一気に拡大しようとするから大変なのであって、地に着いた普及活動を、誠意をもってやれば文化、宗教、人種の壁もそんなに高くないことも知ってほしいものです。

■ 平田さんは長く海外で仕事をしてきた男の矜恃と仕事に対する確固たる信念を感じさせる人だった。
一見飄々としていて、自称「いいかげん」男と謙遜していたが、ときとして決して譲らない頑固さを感じた。平田さんの仕事のスタイルは、ある種独特で、その源泉は何なのだろうか?と想像したとき、平田さんのキャリアが人事畑でスタートしたことが大きく影響していると思った。適材適所と云った人の配置や経営判断によるリストラの実行の経験。人事の仕事は、人の可能性を想像し、成長を見届けることだが、ときとしてそれとは別次元の経営的観点からのリストラの任も背負う修羅場のような世界でもある。ポッカ入社後、人材を商品に置き換え(捉え)、人を育てるように、商品を接しているように思えた。ポテンシャルが高い中国市場であっても、適材適所として自社商品を育てていくことができなければ、進出もしないし、ときには既存マーケットから撤退するという例は、まさに人事的アプローチだ。そして、仕事の進め方、考え方にブレがないことが強く印象に残った。

■ 今回の平田さんの演目は、仕事の戦歴からの示唆に止まらず、
物の見方、考え方、捉え方と言った、すっかり忘れてしまった
基本に立ち戻らせて頂けてたと感じました。
特に、思い込みの中で、どれだけ仕事をしているか、
リアルな状況把握がいかに希薄か等、痛切に実感した次第です。
便利なIT社会に流される事なく、万年筆で文字を書き、
紙媒体で文字を読み、スピーカーで音を聞き、袖すり合わせ議論して、そんな生身の人間らしい、体験を忘れないようにしたいと
思います。ありがとうございました。

■ さてこのたびのお話ですが、アジア進出にあたっての心構え(?)として平田氏がおっしゃっていた“郷に入っては郷に従え”という部分、非常に共感を覚えました。もしかしたらちょっと他の方とは視点が違うかもしれないですが…
私自身、所属する組織のグローバル化戦略にかかわったことはありませんが、まれに「御社はそういう視点をもっているか」と問われることがあります。
むろん、そういう視点での展開はすでに行っているのですが、あまり知られてはいません。おそらく、自社制作のコンテンツをそのままの形で海外に出すことがめったにないために、実はそれが日本のコンテンツに根差したものであるということが気づかれにくいのだと思われます。
多くの場合は、コンテンツの仕組み=フォーマットをセールス。購入した側がそれぞれの国の事情に合わせてアレンジを加えながらコンテンツを作成するので、必ずしも同じ構成にはなりません。でもそうでなくてはならない、そうあるべきだとかねてより感じておりました。
平田氏のお話の中で、異文化との融合を図るにあたっては「あるものをあるがままに見て尊重する。ただし迎合はしない」「違いを認識するとともに共通点を認識する」という指摘があったかと思うのですが、弊社の扱うエンタテインメントのジャンルは、食と同じく、いやもしかしたら食以上に現地の文化、風土、そこから派生する独自の嗜好に基づくものです。とある国に対してコンテンツが受け入れられる芽=共通点があると判断したらセールスをかける、ただし、できあがったものや派生する制作物が日本的な視点で見て、「これのどこがいいのか?」と疑問に感じたとしても、それは現地の価値観を尊重する。
生活習慣が異なれば、おのずと価値観も異なるもの。そこを受け入れなければビジネスチャンスは生まれない。郷に入っては郷に従え…「やっぱりそうだよなぁ」と思いを新たにした次第でした。
貴重なお話を拝聴する機会をいただき、ありがとうございました。