参加者の声 菅野薫「日本発、テクノロジーとクリエイティブの挑戦」

丸の内ブランドフォーラム ラウンド 15・2

2015年7月10日(金)
「日本発、テクノロジーとクリエイティブの挑戦」
電通 菅野 薫 (2014年度カンヌ広告賞 チタン部門グランプリ受賞)

■「非常に勉強になった」に印をつけたのは初めてだ。
・それくらい、「衝撃」だったと言っておこう。
・老兵は死なず、「ただ消えゆくのみ」の心境である。
・自動車の商品企画が社会人のスタートだった。学力や知識やなまじの頭の良さではとても追いつかない仕事だったことを思い出す。
・少なくとも、3-4年、長ければ10-15年先を見通す仕事で、唯一の救いは、「エンジニアリングがついてこない」という焦燥感であり、現実化すべきエンジニアリングの塩梅を調整するのが仕事だったようにも思う。
・しかし、自動車業界も20世紀最後に、今から約20年前に「ハイブリッド」車が実現した時(発想からは4半世紀を過ぎていたのだが)、エンジニアリングが商品企画マンのマーケットインの側面が凌駕され、エンジニアの自信が魅力的なクルマ作りを阻害するようになった。
・「できてしまう」驚きは変わらない。しかし、出来てしまうことが「過剰」な観念に発展してしまうことを、旧人類としては恐れる。否、畏れる、と敬意を表すべきかもしれない。
・3・11直後に「道」が見えたことの実利と、それが有り難いことだけではなく、暫くして「驚き」に変わったことは未だに覚えている。
・しかし、大量の「無駄に」思えるスピーカーを集め、鈴鹿で行った大実験は、「ヨーロッパだから」評価されたに過ぎない、と僕には思える。
・実験としては素晴らしい。僕もまずは「好き」な試みだ。が、その先にあるものが見えない。壮大な無駄は、壮挙になる、と古来言われてはいる。が、差し当たり僕には織のようなものが残る。
・まあ、理性という面では、F1という壮大な無駄が嫌いだという僕の性格がそうさせている面がないではないが。
・言うまでもありませんが、好き嫌いでいえモータースポーツは大好きですし、無条件で心躍る音と映像であったことには変わりありません。
・最後に一つだけ申し上げれば、フェラーリやコルベットの音の再現を聞きながら運転するという「商品」が70年代のアメリカには有りました。おぼろげな記憶によれば、オイルショック後、思うように走り回ることができなかった時代に憂さ晴らしをするソフトだったのかもしれません。

 

■ 広告したい内容が、いかにして届けたい人へ届くか?を考えて提案することが、クライアントと広告代理店の最初の仕事かな、と思っていたが、カンヌで受賞する方とはこのような飛び抜けた方なんだ、という感想を持った。
代理店の担当として、広告の企画提案書の中に詰め込むべきものとは、「自分が伝えたいこと」「クライアントが望むもの(クライアントが満足する企画提案)」と「第三者(お客さま)が反応し、拡散せずにはいられなくなるもの」の3点だと思われるが、菅野さんがもつ特異稀な極めて高い技術が、他人には真似できないプロモーションなのだと感じた。
失礼ながら、ほぼ間違いなく異端児だと思われるが、人が持っていないジョーカーを持つ強み、そしてそのジョーカーを使うシーンの見極めを持つことの大切さを改めて感じた。

 

■ 15年くらい前に恵比寿あたりの外資系クリエイティブエージェントが元気だった頃の雰囲気が漂い懐かしい映像を見させて頂きました。
然し乍ら、その昔によいCMが沢山作られ、カンヌというつまらない観光地が一躍話題になったことは事実で、残しても良い部分を今の時代でも違うメディアを使い、同じような日本的なアプローチを行う表現者がいることを嬉しく思いました。
外資系のアダプテーションばかりを正としてはいけませんね。反省も含めて本日に感謝致します。

 

■ 何度見ても目頭が熱くなる。Hondaの人間なら誰でも覚えているあの日の記憶をデータを使って再現してくれたこと。
それを製品広告の枠をはるかに越えて企業、さらには「THE PRIDE OF JAPAN」のレベルにまでひきあげて魅せてくれたこと。
世界の人々が「Hondaよありがとう」とツイートしてくれたこと。
すべてはあなたのせいだったのですね。
Hondaは今でもいつまでもセナをリスペクトしているし彼もHondaをリスペクトしてくれていた。菅野さんもまたそんなHondaをリスペクトしてくれているからこそ「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」という作品ができたのだと思います。
我々は確かにそれを成し遂げていたけれども、その記録は菅野さんのデータに対する着眼力がなければ今でも倉庫にしまわれて世に出ることはなかった。
スライドの中で弊社今井が「Hondaは今まで技術の蓄積と知見はそれなりにあったけれどもそれを人に伝える術を知らなかった」旨のコメントをしていたけれど全くその通り、「伝える」という点においてHondaはいつもおぼこい。
だからこれからもかけがえのないパートナーとして助けていって欲しい。
もちろん種になる技術・商品は我々が創っていきますから。

 

■ ビッグデータの活用が叫ばれる中、菅野さんのような人財が、データと社会課題を有機的に結び付けて、解決方法を見出す、水先案内人になられるのではないでしょうか。
定量データの解析力と、文系的な思考回路の両方をお持ちであり、遠く離れたように見える両極をつなぐ通訳となられていると感じました。
つなぐだけではなく、圧倒的なデータに対する技術力は、コミュニケーションを飛び越えて、人々を感動させるアートを生んでしまったようにも感じます。圧倒的に早い車が、ほれぼれするほど美しいように。

 

■ 菅野氏は、従来より知り得ていたクリエーターの概念とは、かなり異なった。
膨大なデータの解析(Data mininng)と、解析結果をデジタル的に表現(Code=プログラミング)していくクリエーターであり、HondaのインターNavi等で実績は、長期ブランディング目的のクリエイティブとして、高いポテンシャルを感じた。欲を言えば、小売業や短期的SPでの実績があれば、ぜひお聞きしたかった。

 

■ とても興味深いセミナーを企画していただいた片平先生に感謝です。
菅野さんのお話しやお考え、クリエイティブされたものが全て新しく、とても新鮮な刺激をいただきました。
特に心に残ったことは
・未来の広告は、広告のカタチをしていない。
・広告とは本来、CMを作ることやポスターを作ることではない。広告だからフィルムを、ポスターを、メディアを、と自分の範囲を決めてしまったら、その狭い範囲でしか課題解決はできない。
・これからは、強い専門性を持ちながら、それを軸に全体を見る。
・クライアントの課題解決に向けて、「自分が持つもの(経験、知識、技術)」を総動員して、最適な組み合わせのコミュニケーションとして提供する。
という点です。
時代とともに変化する企業と顧客のコミュニケーションについて、今後も勉強して行こうと思いました。

 

■ いや~久しぶりに感動しました。
菅野さんのことは、あのカンヌで賞をとったHondaのCM「Sound of Honda/Ayrton Sennna 1889」を制作したクリエイティブ・ディレクターだと言う程度の認識しかありませんでしたが、元は片平ゼミ生だったこと、学生時代はデジタル・サウンドのパフォーマンスをやっていたこと、電通入社時に片平先生から言われた言葉、入社以来ずっとマーケティング部門でテキスト・マイニングなどをやっていたこと、等々新鮮な驚きの連続でした。
しかも初めてカンヌで賞をもらった作品が、広告には程遠いHondaインターナビの東日本大震災直後の“通行実績マップ”だったとは! さらに『僕はインターナビ室長の今井さんに育てられました』という言葉を聞いて、鳥肌が立ちました。
今まで広告代理店には、あまり良いイメージを持っていませんでしたが、従来のCMや広告ポスター、コピーライトの枠を超えた、“人の心を打つ”広告(というより作品)が創れる菅野さんのような人がいることが分かり、見方が一変しました。
正に菅野さんは真のクリエイターというか『未来の広告はコーダー!』と代理店の中心で叫ぶ人だと納得しました。

 

片平ゼミ学生》

■ 非常に感動していました。
説明してもらったからこそいっそう感動できたのだと思います。
私も人をワクワクさせ、カッコイイと思わせることができる仕事をしたいと思いました。
ありがとうございました。

 

■ 私が現在広告業界を志望しているということもあり、大変興味深くお話を聞かせていただきました。
菅野様の手がけた事例を紹介していただく中で、本当に心を打つ広告とは何かということが漠然と感じ取れたように思いました。
今後の「広告の形をとらない広告」の広がりが大変楽しみであると同時に、自分もそこに関わりたいと感じました。心を揺さぶる貴重なお話を聞かせてくださり、誠にありがとうございました。

 

■ 広告だとか宣伝だとかそんなものは全然関係なくて、internaviの””CONNECTING LIFELINES””やAyrton Sennaのムービーができるまでのストーリー、込められた想い、そして作品自体に、心が震えました。
結果的なものだなんて信じられないくらい。
それは広告の形ではなくても、確かに広告の役割は果たしていました。
既存の技術の新たな使い方・組み合わせとはいえ、まるで新たな技術のようで、菅野さんの様々な可能性を見出す力に感銘を受けました。
これからますます広がるであろう広告の可能性に期待が高まっています。
ちなみにROAD MOVIEは、かつて私も他の女子学生と同様に便利なアプリとして普通に使っており、チームのメンバーが1秒ずつ出てくる思い出の動画は今も大切にしています。

 

■ 広告の可能性を感じた。
心を動かすことを自分も仕事にしたいと思った。
同時に自分の経験や得意分野が将来的にどういう形で役に立つか分からないからこそ、様々なことに一生懸命になることが大事だと感じた。

 

■ 菅野さんのお話を聞いて、広告のイメージというものが大きく変わりました。
冒頭の、art, copy & codeという概念が、菅野さんのクリエイターとしての作品を拝見してまさに実感されました。
広告業界も日々テクノロジーの進化を伴う中で、ただ素晴らしいコンセプトやイメージを持っているだけではダメで、それを形にするための様々な技術が必要であるということを強く感じました。
人のエモーションに訴えたり、あっと驚かせたりする広告の数々を作品として世に生み出す仕事が非常に魅力的に映りました。

 

■ お話の中で特に印象的だった内容が2つあり、
1つ目は「将来の広告は広告の形をしていない」というお話でした。
広告という単語に捉われがちですが、ブランドというものを形成するのは、商品や企業への信用であり、そのためのアプローチは必ずしも広告の形をする必要がない、という視点は非常に勉強になりました。
また2つ目は、技術の新しい使い方を考える、というお話です。
自分も文系であるため、新しい技術そのものを作ることはありませんが、そういった発想の転換が、仕事をしていく上では重要な姿勢になっていくのではないかと思います。

 

■ 電通の方ということで、ポスターやCM制作などで携わったお仕事のお話を聞く気満々で伺ったところ、予想と全く違った内容で大変刺激的な講演でした。
私はアイルトンセナは存じておらず自動車にも詳しくないのですが、菅野さんが紹介してくださったお仕事の事例は心に響くものばかりで、動画を観て感動しました。
「今までにない技術ではなく、今までにない技術の使い方」という言葉が印象的で、強みがあればいかようにも自分が持っているものから新たな発想を生み出せるということを知りました。
素敵な講演をありがとうございました。

 

■ 大変刺激的な講演でした。
広告の新しい形の最先端をご本人からおききできたことでその可能性の無限さを実感し、クリエイティブとテクノロジーは別仕事という固定概念も覆されました。
直接広い宣伝には結びつかなくとも、とことんこだわることで生まれることがあるのだなと感じました。
自分が社会に出たときにはどう貢献できるかなと考えさせられました。

 

■ アイルトンセナのラップを再現する動画がありましたが、その時に菅野さんが仰っていた、「例えセナを知らなくても一人の人間に思いを捧げるという行為は、それ自体が素晴らしいことできっと誰にも伝わるはずだ」ということが心に刺さりました。
今まで広告には絶対的な正解はないと思っていたのですが、何より大事なことはその会社の実績を自慢することでも、データを引けらかすことでもなく、その企画なりプロジェクトなりに賭ける「思い」を如何にして顧客に訴えかけることができるか、ということなのだなと実感しました。

 

■ 広告代理店の目的は、CMを作ることではなく、ブランドを信じる理由を作ることであるという、見逃していた本質に気付かされただけでも有益でした。
さらに、菅野さんの創造なさってきた、人々の琴線に触れる数々のプロジェクトの詳しいお話をお聞きできて、広告代理店の持つインパクトの大きさに感銘を受け、大変興味が湧きました。

 

■ 広告とは、ポスターやCMを作ることではなく、そのブランドの信頼を高めることだというお話があり、確かにその通りで、これからの広告のあり方は今まで以上に多様になっていくのだろうと感じました。
また、技術を開発するのではなくて、既存の技術の見せ方を工夫するというお話がとても参考になりました。

 

■ 今回のMBFは二時間半あまり常に興奮していました。
菅野さんの行ってきたプロジェクトは視覚的にも、論理的にも印象に残るものでした。
「広告はCMやポスターの様な形式でなくても良い。」という斬新なアイデア、それでいて震災時には人命を救う大きな役割を果たすアイデア、また2020年オリンピック誘致活動を成功に導くアイデア。
一つ一つのアイデアが広告に留まらず、社会に大きなインパクトを与えられていることに感銘を受けました。

 

■ 「広告は広告の形をしていない」と いう未来の広告の形について深く考えさせていただいた2時間でした。
クライアントの要望を集約しそれを消費者に分かりやすい形で翻訳なさる菅野さんの独創性と仕事の速さ・幅広さに大変感銘を受け、特にHondaのインターナビ誕生のお話には圧倒されてしまいました。
そして震災時に道路交通情報を提供していたそのシステムが、社会貢献という点だけでなく「広告」としても評価されたという事実に驚きを覚えました。
私にとって広告はプロダクトとは別の生き物という観念があったため、「プロダクトそのものが広告でもある」という新たな広告の可能性は新鮮であり、またIT社会だからこそ生まれた可能性だなと感じました。

アイルトン・セナの軌跡を再現したHondaの広告もまた、数多のアイデアとそれを実行する気力や想いの詰まった作品だと感じました。
私自身、アイルトン・セナはおろかF1も全然知らない人間なのですが、そのような人に対してもメッセージは届くのかと議論された上でできた作品と伺い、非常に納得するものがありました。
コース・音等の再現性は恐らく私のような素人目にはうまく理解できていないのかもしれませんが、それらに「とことんこだわっている」という事実は十分伝わってきて、アイルトン・セナ個人・レース自体に対しての尊敬が詰まっているような気がして、不思議と胸が熱くなりました。
人の心を動かす広告の裏には、こうした作り手の熱い想いとそれを集約してシンプルに伝える知恵や工夫があるのだなと実感しました。

 

■ 私の中の広告の定義が変わる、むしろ広がるお話でした。
今流行りのひたすら説明する広告とは正反対の広告でした。
それを見たたときに感動を覚えたのは、しっかりとそこに理念を感じたからであると思います。
しかし、事前に菅野様のお話を聞いていたからこそ、それはより鮮明に伝わってきたのであって、なんの予備知識もなかった場合にここまでの感動を覚えるかは分かりません。
分かる人にしか分からない、という段階と誰にでも伝わるという段階をどのように擦り合せていくのか、疑問に思いました。

 

■ まさに今過渡期にある広告業の未来に、古来より脈々と息づくブランディングの本質を垣間見ました。
それは目先の利益追求により失われかけていたものの復権とも捉えられるかもしれません。

 

■ 現実世界をデータとして保存しそれをもう一度現実にアウトプットする際に見せ方をプログラミングの力を使ってよくすることでただ保存したデータの再生というより新たな世界の創造のように思えとても興奮しました。
特に東日本大震災の交通網に関するプログラミングは広告がプロモーション活動などの経済への影響にとどまらず社会問題の解決にもつながった例で大変感動し将来見習いたいと感じました。

 

■ 学生の立場からみた率直な感想は、とてもかっこいい・ああいう面白い仕事ができるようになりたいという羨望と、広告が社会貢献につながるのかという驚きであります。
菅野さんの仰った「高い専門性と広い視野」という言葉に感銘を受け、自分も得意なことを探し、その分野のスペシャリストになり、かつそれを様々なフィールドで役立てていければと思います。
また恥ずかしながら、今まで「広告やマーケティングは商品を売る宣伝するもの」ぐらいにしか考えていませんでしたが、震災の例や、人々に感動を与えた例など、社会貢献につながってることを目の当たりにし、反省しています。
とても素晴らしく、刺激的な講演でした。

 

■ これほどまでに様々な発想が生まれ、それを実現されてきた姿に感動しました。
学生時代から好きで突き詰めてこられたことがうまく反応しあって現在の仕事に生きているという印象を受け、そうありたいものだと感じています。
また、発想や技術の源となる知識を一体どんな形で仕入れているのかは班でも議論になりましたが非常に気になっているところです。