参加者の声 伊藤 善章「世界に夢を売るドラえもん」

「ドラえもん ブランディング 三つの極意」
伊藤 善章(藤子・F・不二雄プロ社長;藤子・F・不二雄ミュージアム総館長)

■ ブランディングの肝は、感動 信頼 笑い 特に、アイデンティティーの重要性を再認識するよい機会であった

■ 伊藤館長の温かで誠実なお人柄が伝わってくる、素晴らしいセミナーでした。
創業者の理念・世界観を、伊藤館長を中心に、従業員が一丸となって継いで行こうとされている『想いのシステム』に感銘を受けました。
「描く僕が楽しみ、
読んでくれる人も楽しむ。
そんな漫画が
ずっと、僕の、理想なんだ」という藤本さんのお言葉が、
メディアを作っている身として、しみじみ、感銘を受けました。
利他的に生きるということ、繋いでいく役割であるということ、
心に響きました。ありがとうございました。

■ 自分が本当に「感動」することに賭ける。
すぐに「行動」し、「決断」することが大事
ということをおっしゃられたことが心に残りました。
先般見学させていただいた自転車パーツメーカーのシマノでも同様のことをお聞きしました。それは、『自分が欲しいと思ったもの・良いなと思ったものは、いくらかかっても良いので早く試作品を作って自分で試す。その感動をいち早く味わってみると、自分が一番高い山に登っているのか、もっと高い挑戦すべき山があるのかが見える』といった内容でした。
フィールドは違えど、お客さまに感動を与え愛されるブランドは、そこで働く人自身が感受性豊かに仕事をとらえ挑んでいるんだと思いました。
どら焼きと本をいただき、むぎわら先生に図々しくもサインまでいただいてしまいました。ありがとうございました。

■ ブランディングというHOW TOの話ではなく、背景にあるべき理念の話であったことがよかった。
また、3つの極意に関して、具体的で心に迫るエピソードを交えてお話しくださったので、とても印象に残った。
感動、信頼、そしてその企業ならではのアイデンティティ(社会に何を提供するのか、存在意義は何か)を問い続けることの重要さをあらためて感じた。と、同時に、自社にとっての3番目の言葉は何になるのか、改めて共通言語化していく必要性を感じた。

■ 正直「なぜにドラえもん?」という疑念を抱きつつ参加したが、非常に役に立った。ブランドというより経営の心得として、とても染み入るものであった。感動・信頼・笑い。3番目の笑いは企業によりけり、と仰ってたが、どこの会社にも必要な条件だと思う。社員が笑顔じゃないような会社から、良いものが生まれるはずがない。藤本先生の「描く僕が楽しみ、読んでくれる人が楽しむのが理想」との言葉は、描く=働く、読んでくれる=買ってくれる、と置き換えると、全ての会社に通用するのではないか。で、お客様の「良かったよ」ってフィードバックがあれば、さらに燃える。まさに片平さんらしい人選に感服しました。

■ 私の場合、ドラえもんは昔マンガというよりTVではよく観ていましたが、全集を揃えるような“おたく”でもないし、今回のレクチャーもはっきり言ってあまり期待していませんでした。 しかしそういえば、確か藤子・F・不二雄さんはかなり前に亡くなったハズなのに、今も毎年新しい映画は出るわ、トヨタのTVCMにもなるわ、虎ノ門ヒルズのマスコットとして“トラのもん”が生まれるわ、一体どうなっているのだろう、と疑問に思っていましたが、その謎が解けました。 張本人は伊藤さんだったんですね。
それにしても、“ドラえもん”というキャラクターを過去の遺産(故人)とするのではなく、今もそして未来につなげて生かし続けるために、大変な努力をされているのだ、ということを初めて知りました。 考えてみればディズニーがミッキーマウスというキャラクターを核として、営々と夢を与えるビジネスを続けているのと同じなのですね。
またブランディングの“三つの極意”である「感動」「信頼」「笑い」にも共感しました。 特に最後の「笑い」というのは、我が意を得たり!という感じでした。 笑いは、例え作り笑いでも、人の免疫力を高め心身を健康にするとか・・・、私ももっと精進しようっと。W あと、どら焼きは大変おいしくて、お茶の先生をしている家内も絶賛でした。

■ なぜMBFで「ドラえもん」なのか?それはこれからのブランディングにはドラえもんの心が大切になってくるからです。「ドラえもんは大人へのメッセージなのです」とは伊藤さん。納得です。そのココロは「大人」の前に()つきで(子供のこころを忘れてしまった)を付け加えたいです。「ドラえもんは未来の大人へのメッセージ」であることが隠れた、しかし重要な存在理由であり、子供の「夢」こそが未来をつくるのだと思うからです。
「藤子・F・不二雄さんは天才です」とは相棒だった藤子不二雄?こと安孫子素雄先生。私もそう思います。1968年、ソニーがトリニトロンカラーテレビを発売、チャンネルはガチャガチャと「回す」ものでした。そんな時代に描かれたSF(すこし・ふしぎ)漫画「21エモン」ではボタンを押すだけで何でもできてしまう「ボタンポン星」やさらにはなんと見るだけでなんでもできてしまう「ボタンチラリ星」のはなしが出てきます。それから40幾年、その夢は一眼レフのAFやPCの操作など、視線入力技術となって実現しています。今の技術者たちが21エモンを読んでいたかは知る由もありませんが、♪こんなこといいな、できたらいいな♪との発想を漫画というメディアを通して子供たちに伝え、どれだけの科学者輩出を助けたのかと思うとき、夢を持つことの大切さを感じるのです。
ドラえもんとブランドという観点では、他の方の質問にありました「ドラえもん最終話同人誌問題」にあえて言及したいと思います。ドラえもん(作品)=ブランド(商品/サービス)と考えるならば、作品(ブランド)は読者/ファン(顧客)のアタマのなかでつくられるものであり、その理念までもトレースして見せた「二次創作物」の出現はケラーの提唱する「ブランドリレーションシップ・ピラミッド」の最上位であるレゾナンス(共鳴)の体現であり、「マーケティング3.0」のキーワードのひとつである「共創」のケーススタディとして注目に値するものです。利益機会の逸失やブランドイメージの毀損に対しては強く警戒をしなければなりませんが「らしくない」ことは厳しく指弾されることにおいて版権所有者であってもまた同じです。共創(共鳴)状態に到達したブランドにおいて意思決定の基準となるものは「愛」であり、原点に立ち返ってそもそもその作品(ブランド)が伝えたかったもの、成し遂げたかったことは何なのか、そのアクティビティーは「○○らしい」ふるまいか否かを「愛があるか」を持って判断するとき、行為の真偽は明確となり、真であれば作品(ブランド)はより深く広く存在し続けるでしょう。
伊藤さんは件の模倣問題について「意に介していません」と仰っていましたが、ご自身も加えておられた通り、無関心なわけでもなく、敵視するのでもなく、「名作はマネされてはじめて本物になる」が如く「ビジネス」と「愛情」の両方に長けた名経営者とお見受けいたしました。
私たちの手がけるブランドが共創ブランドのフェーズに達した時、ドラえもんはブランドの先輩として大いにその範として存在感を増すことでしょう。

■ ・ジャイアンが朝青竜だった、というのは衝撃的事実でした。勿論、直接の関係者は話さないことなので全く知りませんでした。結果的には良かったように思います。
・月曜日にミュージアムを見学したときの感想を一つ述べます。リアルの感激とヴァーチャルの感激のバランスを取って欲しい。より充実するのではないだろうか。というのは。本物の原稿は貴重ですし興奮します。一方、生の原稿は私のような年齢になりますとはっきり見えなくなります。特に原稿保護の為明かりを落とした展示場は残念でした。ヴァーチャルでも見やすくしていただくことも必要ではないでしょうか。決して5万枚の生原稿をないがしろにすることではないと思います。
・伊藤社長のお話は啓発されることが多々有りました。一番印象的だったのは、設ける必要はない、という遺族の歯止めと、伊藤さんをはじめとするにもかかわらず事業として成立させる立場のバランスがうまくいっていることでした。意地悪く言えば先々が非常に危惧されますが、BMWのような創業家と経営のようなよい例に続いてほしいものです。

■ キャラクタービジネスの枠を超えたドラえもんという存在。
藤本氏の想いを引き継ぎ、伝承するだけでなく、常に新しい事にチャレンジし、進化するドラえもん。
しっかりとした、核となるモノがあり、それを皆で共有し、ぶれない判断基準が進化の方向性を決めており、ファンを失望させることなく、むしろワクワクさせると感じました。
そして、藤本氏を尊敬し、ドラえもんを好きで仕方がない熱狂的な集団であることは、自社のブランドづくりにおいても非常に参考になりました。

■ ラウンド15.1にエントリーいたしまして、今回より参加いたしました。
非常に勉強になるお話を聴くことができました。
ありがとうございました。

■ ミュージアム見学、伊藤様のお話しを通して、ドラえもん、という国際的キャラクターを、藤子不二雄さんの思いと、どのように伝え、育てていくのか、を直接見聞きすることができる、貴重な機会でした。また、ミュージアム見学の際にはたくさんのお土産も頂戴し、ありがとうございました。
ミュージアムの奥様のお言葉には、じーんと来るものがございました。そして、藤子不二雄さんの「描くぼくが楽しみ 読んでくれる人も楽しむ。そんなまんががずっとぼくの理想なんだ」という言葉、伊藤様の、その場で多少大げさになるくらいに褒める、感謝の気持ちを伝える、というお言葉は、一クリエイターとして大変うなずけるものでした。
ご家族のご意向、ほかの関係者との調整など、楽しいお話の向こうには、想像以上の大変なこともたくさんおありかと思いますが、これからも、「つなぐ未来へ」たくさんの夢と希望を与え続けてください。
改めまして、素敵なお話をありがとうございました。