参加者の声 柿澤ひとし氏

第7回   柿澤ひとし(和食プロデューサー)
「世界に和食の輪を広げる」

■柔らかいお話しが多かったが、写真に登場する皆さんの笑顔が素敵で、柿澤さんが
素晴らしい仕事をなさっていたであろうことを確信できた。

■上海万博におけるスタッフの教育についてのお話が極めて興味深かった。私の偏見
では、上海の女性を御するのは大変苦労するというイメージであったが、彼女らの夢
を叶えるお手伝いをするという徹底したスタンスで、対等に接し合うことで彼女らを
一流のスタッフに育て上げた経緯は、大変参考になった。定番を生むにはまず身内か
ら「仲間」にしていくべし、ということなのだろうか。従業員を軽視する飲食業界の
諸企業には大いに見習ってほしいと感じた。

■「本物」を伝えることの難しさを強く感じました。裾野と本質とではアプローチの
方法が異なるものの、どちらも伝えるためには必要なのだと勉強になりました。

■人材育成について大変勉強になりました。
「表面的なことではなく、本質的なものを伝えることが一番外人に受ける。」という
お話がありましたが、まずは自分が本質的なことをわかってないと伝えられないので、
難しいなと思います。

■一人一人が主役、一人一人にどう伝達するか、と言うような、接する個々の考え
る・向き合う姿勢の尊重をされている点がとても印象的で、一人一人が大事にするこ
との多様性・多義性を尊重されているところがとても勉強になりました。魂という言
葉や、堀切社長がおっしゃった「誠」の概念も印象に残っており、今後大事にしたい
と感じました。どうもありがとうございました。

■「食で世界を平和に」というストレートな想いに感動しました。更にはプロスタッ
フの人組みや、現地直採用者への教育まで、同じ想いで裏打ちされているのに頭が下
がりました。

■やっぱり人が大事なのだと、再認識しました。

■和食の本質とは何か、について深く考えさせられた。
食そのものではなく、新鮮な食材、栄養バランス、季節の移ろい、年中行事とのかか
わり、という4つの習わしが世界無形文化遺産に登録された理由と紹介されたが、こ
れは和食だけに限ったことではなく、世界に共通することなのでは、という問いに対
し、「その通り」とお答えいただいたのが大変印象的だった。個人的には、お茶室で
行われていること、主人が設定したテーマを理解できるリテラシーの高い客、そして
主客の共創が行われることが、和食の底辺に流れる本質ではないかと考えていたが、
お答えいただいた内容がそれに近いものだったのではと感じている。
そして、「和食というものを瞬間芸で作り上げていく技術」、という言葉からは、知
見に裏付けられた重みをひしひしと感じさせられた。
もうひとつ、チームをどう作り上げていくか、についてのお話が大変意義深かった。
・メンバーの「自分がかなえたい夢」をとことん聞き、譲れない価値観を理解した上
で、できることを共に探していく
・かなえたい夢をかなえるために必要な多面的な教育を授ける
・3つほめて、1つ伸ばす
・毎朝、前日の振り返り、誰かをほめる、今日の目標を共有しあう
実行し続けるのは本当に大変なことだが、一つずつでもやっていきたいと思った。

■講演を聞く前は調理法に関する話がメインになると想像していましたが、サービス
スタッフや料理人との関わり方などについて詳しくお話してくださり、料理に明るく
ない私にとっても、大変勉強になるお話でした。和食を広めるとはただ形だけの和食
を海外に出すのではなく、それに紐付いた文化や人の気持ちも伴ったものでなければ
ならないのだと感じました。

■柿澤さんのお話は、以前“大人の教養学部”の食セッションの一環として、築地場
外の“食まちスタジオ”で聴いており、また今回ゲストで参加されたキッコーマンの堀
切社長の講演も聴講していましたので、大変懐かしく、かつ楽しく聞かせてもらいま
した。 流石にワシントンDCの日本大使館の総料理長を、若くして任されただけに、
現地の食材を使いながら、本物の「和食」の美味しさ・本質を伝えられる、超一流の
「和食の伝道師」であることが良く分かりました。 それにも増して、上海万博で中
国の素人の娘さんを短期間で一流の仲居さんに育て上げたり、ミラノ万博でも日本各
地から集まった個性あふれる?料理職人をまとめ上げたり、と「食材の料理人」と言
うより「人材の料理人」と呼ぶ方が相応しいと思いました。
これからも世界に“和食の魅力”を伝えていってほしいものですが、庶民にも手の届く
料理もお願いします。