第6回 細尾真孝 (「細尾」 常務取締役;MITメディアラボ客員フェロー)
「西陣から世界へ」
■現代アートとのコラボは、そのこと自体は持ち出しだが、R&Dの機会であり元が
取れるとの見方を興味深く拝聴した。
■元気をいただける素晴らしい講演でした。
伝統とチャレンジ、生き残っていくためには新しい価値を生み出し続けていかなけ
ればいけない、という当たり前のように見えることが、過去からの何百年、これから
先の何百年という長い時間軸に置いてみたとき、どれだけすごいことかに瞠目させら
れました。
また、その新しい価値が、アーチストや科学者など、異質な人とのコラボから生み
出されていること、「できない」「前例がない」ではなく、「どうしたらできるだろ
うか」「見たことのないものを生み出したい」という想いで突き進んでこられたこと
のすごさ。異業種コラボといいながら生ぬるい活動しかできていない自分たちを振り
返って、忸怩たる思いです。
お話を聞きながら「アンバンドリング」という言葉を想起しました。和柄、「も
の」という制約を払ったところから始まる、自社の強みの再発見。そして、暗黙知と
テクノロジーをかけあわせること。自社でどんなことができそうか、まだ全く見当も
つきませんが、常に意識していきたいと思います。
■だれも思いもつかなかったような素材、製品応用にチャレンジされているのが
すごいと思いました。 自分で状況や環境を見ながら変化するよりも選択肢の多様化
による生き残りを目指すところが立派だと思います。
■「これから百年先つづけていくためには」という長期的な目線で西陣織のさまざま
な可能性に挑戦し、成果を出しておられる細尾様のお話を伺い、歴史観、長期的な時
間感覚で物事を見る大切さを学ばせていただきました。
■西陣織を代表とした伝統工芸が、様々な分野とコラボレーションをしているのを見
るのが興味深かったです。バイオとのコラボが個人的に特に印象深かったです。
■我々が想像していた「西陣織らしさ」は和柄・重厚・優美・・・といったことか
ら、海外進出をきっかけとしてその芯を見つめ直すこととなったお話が非常に興味深
く、現在に至ってはもはや超えたはずの枠すらも見えないほどの展開
・発想をされている。それでいて300年以上にわたり培ってこられた伝統はそれを受
け止め新たな輝きを放っている。可能性に満ち満ちた講演でした。
■「西陣織×○○」のパターンの多さに驚いた。「西陣織×バイオテクノロジー」に
てスピード感ある話を伺えたが、前提として様々な人と細尾さんが友好関係を築いて
いる、協力したいと思わせる魅力が細尾さんにはあるのだと思った。スピード感も
フットワークの軽さも自分の目線が低かったことを痛感し、まずはそこから改善した
いと思った。様々な人を惹きつける魅力は、その改善を通じて養われるもの、と思っ
て頑張りたい。
■西陣のことは、着物や帯に全く縁のない身にとって、名前こそ超有名だけど“高級
品である”ぐらいしかイメージがなく、織り方の違いなども一切知りませんでした。
ただ中川さんの講演の中でGO ONプロジェクトの話があり、細尾さんが6人の中の一
人として、アグレッシブに活動されていることだけは存じておりました。
それがお話を聞いてみると、こんなにワクワクするとは! 流石MITメディアラボの
ディレクターズフェローだけあって、バイオテクノロジーとの融合とか、ホイポイカ
プセルの話など、ぶっ飛んでましたね。
それにしても、GO ONのメンバーに限らず、今まで講演して頂いたファクトリエの
山田さんや「紀土KIDD」の山本さんを含め、衰退或いは絶滅危惧種の伝統産業を大
きく革新して、逆に世界に向けて発信していくパワーとスピードに圧倒されました。
片平さんが「次のメディアラボ所長に間違いなし」と言うのも頷けます。
■テクノロジーと西陣織との組み合わせがとても印象的でした。西陣織のドレスがと
ても素敵でした。
■全く異業種ですが、参考になる点が多くありました。西陣から世界に提案するにあ
たり、ストーリーマーケティングが展開されていた。またそれを世の中に伝えるコン
タクトポイントの設定なども勉強になりました。伝統文化も飽和してきており、その
中で異彩を放つ(目立つ)ためのパートナー選定など、自社のポジションも意識され
ていると思いました。2次会で幹部は異業種からの転職が多いとおうかがいして、納
得しました。