第5回 佐藤 章 氏(湖池屋 社長) 「新生湖池屋の商品戦略」
■今期MBFテーマ「定番」を通じ、ブランドのライフサイクルを考える際、ブランド
が定番化する「前」の過程も重要だが、定番化した「後」の選択肢についても関心あ
り、勉強したい。これらを考える非常に良い機会をいただけた。
■(私もFMCG分野でマーケティングに携わっていますが)マーケティングの考え方
や分析アプローチは飽くまで王道的に感じましたが、”目の付け所(湖池屋という
コーポレートを復活・強化、こだわりのプレミアム市場創成)”が大変すばらしく、
それはセンスや経験、哲学から成されるものではないかと感じました。大変勉強にな
るご講演とそのご運営、どうもありがとうございました。
■市場が横ばい、トップとの差は圧倒的、ユーザーのイメージ資産も年配が中心と、
非常に厳しい競争環境の中で、成長戦略を模索されている様子が伝わってきました。
賢者の盲点を突く「クリティカルコア」の発見が、まさに鍵だと感じました。朝食抜
きや昼食逃しといった未充足ニーズへの対応は順手だと思いますが、どんな「キワ」
を攻めていらっしゃるのか、とても興味深いです。
自社も、トップを滑り落ちて長くたっているのに、まだ自分たちを「賢者」だと勘違
いし、既存のプロセスを壊せないでいると感じます。新しい発想で、「意味のイノ
ベーション」をおこしていきたいと思いました。
■ポジショニング等戦略について具体的に知ることができて勉強になりました
■情報量が多く分析と情熱がどちらも詰まったご講演で非常に参考になりました。
PRIDEPOTATOから受けた「なんか違うぞ?」といういい意味での違和感が、
「湖」という漢字一文字に起因していたんだなと腑に落ちました。ありがとうござい
ました。
■私自身はポテトチップに関しては昔からコイケヤ派なので、伝統ののりしおがどう
なってしまうのか?という問題意識で講演を拝聴しました。湖池屋への軌道修正はか
なり論理的に詰めて行われたのだということがよく分かりました。そもそもスナック
菓子を買うときは、客にとっての言い訳が重要なのではと考えていますので、国産で
際立っておいしいということは十分言い訳になると思いますし、価格を言い訳にする
のはC社に任せておけばいよいという割り切りはよく理解できます。湖池屋とコイケ
ヤをどのように両立させていくのか、コイケヤは少しずつ店仕舞いするのか、今後の
展開に注意したいと思います。
■冒頭、市場分析やカルビーとの比較、消費者の傾向等の分析の細かさに圧倒され
ましたが、その結果を1つのストーリーとして紡いでいき、そしてその中心には湖池
屋らしさがあるという点に感銘を受けました。
途中、広告費について触れられておりましたが、どんなに優れた戦略があっても資本
力についてはカルビーと大きな差がある中で、広告宣伝についてどのようなポリシー
があるのかお聞きしたかったです。
■スナック事業を担当する立場として、戦略方向性に至る分析や考え方、本気度がス
トレートに伝わって、身が引き締まる思いでした。一応競合関係にありますが、同業
種コラボレーションなんていかがでしょうか。まさに“突き抜けた”協業ということで
(笑)
■デプスインタビューを加えたマーケット分析と戦略ストーリー立案まで実例を交え
て紹介いただき、非常に勉強になりました。優れた戦略家は優れたストーリーテラー
でもあり、ストーリー=筋が明確になれば、社員も主演、助演を問わず組織として演
技し始めるのでしょう。感服しました。
■<<製品ブランド>>か? <<企業ブランド>>か?
現在は経済団体へ出向中の身だが、間もなく帰任予定の総合商社で、過去に日清食品
様の海外展開支援について調査した経験から、その視点で興味深く拝聴した。緻密な
分析を披露いただけて大変勉強になったが、説明を(意図的に?)省略なさったと感
じたのはFive Forces分析だった。販売価格低下は衝撃的なグラフだったが、真の理
由は、競合社の価格政策ではなく、PBを持つ大手小売からの値下げ圧力ではないか。
であれば、長期的に有力な戦略候補のひとつは、競合社へのポテチ事業売却だろう。
これを視野に入れれば、企業ブランドではなく、売却単位となる <<製品ブランド
>> にこそブランド資産を蓄積すべきと考えられる。事業売却は、長期的には小売と
の交渉力獲得と収益率向上を通じて、売却された事業の従業員、株主を含め、メー
カーの人々を幸せにするだろう。欧米食品産業では製品ブランドと事業の売却は一般
的に見られる。
一方産業構造分析に目を瞑れば、中期的に有力な戦略候補のひとつは、圧倒的な
Operation Excellenceの獲得だろう。現在の市場地位とメディア環境を勘案すれば、
(各製品ブランドではなく)有力ブランドとしての <<企業ブランド>> への集約こ
そが有望になる。企業ブランドの向上やCI活動は、(OPEXを獲得せずとも)一部従
業員やオーナーの自尊心を満足させるだろう。