第3回 磯貝明(東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授)
「セルロースナノファイバーの夢」
■研究開発には企業との協力が不可欠だということを考えさせられた。理系分野に触れ
ることも大切。
■弊社組織が大き過ぎて把握しておらず申し訳ござません。非常に勉強になる講演会で
した。私は、現在、イノベーション本部と言う場所に所属しておりますので、今後検討
できる可能性は無限大です。今回、セルロースの可能性を強く感じましたので社内調査
し、すぐに検討したと思います。本当に有意義な会でありました。
今後ともよろしくお願い致します。
■通常のブランドづくりのテーマの講演とは違うユニークな内容で新鮮でした。磯貝先
生のお話しを聞いてノーベル賞を受賞された山中教授とも根っこのお考えが近いと感じ
るとともに尊敬できるお人柄に感銘しました。化学の説明部分は難解でしたが、基礎研
究と応用研究の違い、特に実用化のスピードと拡大のために役割分担を明確にお持ちで
あることが印象深かったです。ブランドづくりに関連する部分では紙・金属・プラス
チィック・・に何故人々は信頼性をもっているか、セルロースナノファイバーはまだま
だこれからなのかについての言及もその通り、画期的な新素材は普及にワンジェネレー
ション以上かかる所以と納得しました。21世紀の展望が少し明るくなった一夜でした。
どうもありがとうございました。
■天然パルプをTEMPO処理後にミキサーで撹拌するという意外な方法で、セルロース
ナノファイバーの安定生産を可能にした経緯は、磯貝先生の偶然を貪欲に取り入れる研
究スタイルの素晴らしさが際立っていたと思います。一方で、産業界での用途開発が遅
れている点は、日本のものづくりのシステム上の課題であると考えます。本件に限らず、
海外での評価が高い案件が目につくことは警鐘ではないでしょうか。
■セルロースナノファイバーは名前を知っている程度で、全くの門外漢だったが、磯
貝先生のお話はすーっと頭に入ってきました。単なる頭の知識だけではなく、手を動か
し、実際にいろんな壁にぶつかりながらの発見だからこその、身体化した知恵だと感じ
ました。また、研究者にありがち(失礼!)な専門分野の直線的な問題解決にとどまら
ず、経済性や環境への影響も含めて、社会全体にとっての研究の意味を常に問い続けら
れている姿勢にも共感しました。
花粉症に悩む者として、一日も早く、日本の山を覆っている杉・ヒノキが有効活用され、
花粉の出ない木に置き換わっていってほしいと思います。食品や食品容器への適用が可
能になれば、自社でも活用方法を考えていきたいと思います。
■研究費は広くバラまくべき。特定の方への集中はよくない。という
先生のコメントには、その通りだと思いました。
目的がわからず研究しているのが、真の基礎研究だということがわかりました。
■最初少し難しいと感じたが、何になるかわからないものを企業と連携することで新し
い価値を生むことが出来るということが面白いと感じた。また、先生が学生の時に、セ
ルロースは手間がかかる、手の焼けるものだとわかっていたのにもかかわらず、それを
研究し続ける道を選択したところがとても興味深いと思った。
■セルロースナノファイバーの技術的な側面だけではなく、今後を見据えた研究をさ
れており非常に刺激を受けました。企業・産業により発展させていってほしい、という
メッセージが印象に残っています。
■セルロースナノファイバーの事は以前から知っていたが今回初めて磯貝先生のお話
を直接お聞きすることができた。講演をきいて開発の経緯を詳しく知ることができ勉強
になった。また磯貝先生の研究に対する考え方に大変感銘を受けた。
講演の中で仰っていたアカデミックでの研究は基礎を固め、応用・実用化は企業に任せ
るという考え方に共感した。このようなスタイルで研究を行っているので、現在では多
くの企業が賛同しセルロースナノファイバーに取り組んでいる企業が4000社にも達す
るようになったのだと思う。今後、セルロースナノファイバーの技術を用いた日本発の
ものが次々と開発され、日本の産業がもっと活性化するのではないかと本講演を聞いて
ワクワクする気持ちになった。
■CNFは以前TVで紹介された時から注目しておりましたが、ちょうど先日の東京モー
ターショーでも工具メーカー(KTC:京都機械工具株式会社)がCNF製のスパナやハニ
カム構造材を展示していたので、いよいよ普及段階に来たのか、と納得していた次第で
す。ところが、先生のお話では身の回りに普及するにはまだまだ何年もかかると
か・・・。それにしても、先生が名誉やお金に対して無欲な事に感銘を受けました。や
はりそういう人のところにセレンディピティーは訪れるのですね。
いずれにせよ、前回講演の日本酒もそうですが、全て国産の原料で日本独自の技術で作
られたモノだけに、最強の輸出産業に成り得るだけでなく、CNFの場合は地球環境にも
貢献できるのですから、こんな理想的な素材はありませんね。 ノーベル賞の予感
が・・・。
■普段、農学部の農業資源経済学専修で勉強している者です(質問していた人とは違い
ます)。先生のお話を聞いていて、日本のバイオマス産業が盛んになっていくこと、木
が資源の循環に入ることから、日本が抱える林業の問題の解決の糸口にもなって、農林
業が一層活性化するのではないかと思い、夢のある話だと感じました。
普段は経済分野での勉強がメインですが、農学徒として、生物資源の今後の展開にも敏
感でいたいと思います。貴重なお話を、ありがとうございました。
■磯貝先生の情熱を感じました。情熱がまわりを引き付けてうまくいくと思いました。
■非常に気になったのは「自分の学問成果を自ら企業にアプローチをして…」という
ところです。理系の研究室が隣の研究室で何をしているか知らないとはよく言いますが、
同様に企業の人たちももしかしたら自分たちに有用な研究であるにもかかわらず、関心
がない状況が気になりました。もちろん、これらを合わせることでのコストの大きさも
馬鹿になりませんが、勿体ない研究がまだまだあるのではないかと感じました。
■CNFがいかに素晴らしく将来有望な素材か、また現在あまり利用されていない日本の
森林資源の活用にとっても素晴らしいことか、楽しく、良く、理解できた。ただし、磯
貝先生の講演の前または後に、片平先生から「MBFにとっての意味」についても、もう
少し補足説明をいただけたら、さらに良かったと思う。おそらく、将来のゴアテックス、
インテル・インサイド、あるいはキシリトールのような「B2B2Cブランド」の有力候
補であり、あえて国際特許を取らないなど興味深い戦略があるようにも感じたので。