参加者の声 片平秀貴

第1回 片平秀貴
「ブランド生態系を測る:一人ひとりの頭にブランドはどう宿っているのか?」

■ディスカッションの前に途中抜けさせてもらったのですが、改めて先生のブランド論を聞くことができてよかったです。今年度の初回MBFと共通する内容もありましたが、半年の間に自分なりにブランドについて学んできたこと/考えてきたことがあったので、納得できる部分が増え、理解度も高まったように感じます。後期はさらに奥深くまでブランドの世界に入り浸って行けたらと思います!

■記憶の3層について、また、そこからBrandscapeの調査についてと、興味深い内容でした。
調査における街や買い物をする施設について聞く項目に関しては、地域性と住む場所の性質によるところが大きいように感じました。例えば、買い物をする施設に「イオン」とだけ書いている回答をいくつか見ましたが、イオンは他の商業施設があまり集積していないところに出店していることが多いため、駅前の百貨店同士のように行き来することが少なく、そうした回答になっているのだと感じました(この場合、街の性質はベッドタウンと考えるのが妥当かと思います)。このように、回答者の地域性や商業集積の程度によって回答が偏ってくるのではないかと思います。一方で、ライフスタイルがわかりやすく、Aというブランドの想起とBというブランドの想起の相関などは見やすいかもしれません。商業集積の程度によって、目に触れるブランドは変わってくるので、想起されるブランドとライフスタイルに加えて、回答者の住む街の性質も考慮に入れると傾向がわかりやすくなるのかなと感じました。

■まず『ブランド生態系』という名前に納得感大(『ブランド・エコシステム』と言わないところが片平先生らしいとも)。アマゾンとタイムズとの繋がりが強いといった発見などは、見えない何かを見たいと思う右脳的な人にとってワクワクするものですが、一方で可視化されるものしか良しとしない左脳的な人にはなかなか理解されないような気もします。市場やカテゴリーに縛られない真のブランド力という点で、私が担当する袋麺ブランド『うまかっちゃん』が浮かびました。39年前に九州人によって九州人のために作られた九州NO.1袋ラーメンです(工場も福岡、販売も基本九州エリア限定)。来年40周年にむけて『地元九州人にとっての最強の袋麺ブランドから最愛の袋麺ブランドになる』をビジョンに掲げます。ソフトバンクホークス、くまもん、ななつ星、ハウステンボス・・・等々多数の九州ビッグブランドのなかでどうなの、なんて測ってみたいですね。

■「ブランド生態系を解明するために記憶を測る」という試みは非常に新鮮で感銘しました。
私のバックグラウンドであるバイオ分野の、「生物種の環境適応と進化を解明するために適応度を測る」のとコンセプトが重なるように思います。
ダーウィンによる生物の適応度は、顧客の記憶と対応するのかもしれません。
私のテーブルでは、分析対象をどこに置くのか、例えばライオンのようなメーカーブランドか、システマのような製品ブランドかという議論がありましたが、進化論でも、対象を種に置くのか、個体に置くのかという議論に未だ結論が出ていないことを思い出し、苦笑してしまいました。
生態系調査は全く新しい生態系ニッチの発見や、人為淘汰による新作物の育種に応用されています。
この調査による予期せぬニッチマーケットの発見や、新ブランドの育成への応用を期待しております。

■1、取組み・考え方自体は大変興味深いお話しでしたが、調査は企画段階の想定と結果読み込みから考察に至る際に想定通りではないことが起こることがあります。昨日のお話はローデータの段階だったので、考察までが終わった段階でまとめてお聞きしたかったなと思いました。
2、先生が当初Oさんの事例でストーリーを記載してもらおうとと想定されていたように感じましたが、実際には「安心・信頼」など、単語のみ回答される例もあるなど幅があったように感じました。今後どのように調整されるのか、気になりました。
3、同じテーブルの方と、事例共有をディスカッションできたことが非常に参考になりました。

■今回、初めて参加をさせて頂きました。ブランドは、自分(企業)本意ではなく生活者本意で素直な気持ちで向き合う中にこそ、その本質が見え、またそこに、今後の成すべきことを探るヒントが見えてきそうだと、改めて考えさせられました。多くの示唆を頂き、有難うございました。

■Brandscapeアンケートの結果から、その方のブランドの考え方や消費行動を探るというプロセスが
面白く、特に学びになりました。私も回答させていただいたので、集約・分析結果がとても楽しみです。
グループ討議でも、学生を交えて複数の考え方や視点が出ており、有意義な時間でした。

■「ブランドは1人で生きているわけではない」というBrand Scapeの考えが最も印象に残りました。このブランドを買うのはなぜ?という視点で見ていく等、ブランドそのものに注目すればするほど、利用者の生活の全体が見えなくなってしまっていることに気付かされた点で驚かされました。(調査票の質問を巡る攻防については、無茶でない反骨心ある姿勢が片平さんらしくて面白かったです。)
質疑応答の中で「ラグジュアリーも日用品も感動」という話がありましたが、特に日用品の場合、その感動が些細な事であるため「感動」に意識して注目しないと見逃してしまうなぁ、と感じました。「感動」と言われた時、「歯磨き粉を選ぶとき『感動』なんてあったかなぁ」と思い返してみてやっと、そういえばと思いつきました(一番安いものを買うというパターンもあるのですが)。

■ジャンル別のブランド論ではなく、それぞれの人の脳内のブランドをまとめて捉え、それぞれのブランド間の連関を考えるという発想は今までしたことがなかったのですが、人のブランドへの考え方や選び方、生活とブランドの関わり方を知ることができて、とても面白いと思いました。
また、ジャンルに分けずにそれぞれの人の脳内に強く印象づいているものをまとめて捉え、その連関を考えるというのは、ブランドに限らず他の分野でも応用したら面白い調査の仕方だと思いました。

■今回が初めての参加です。前半の「ブランド生態系を測る」理論や考え方の部分を自身が飲み込む前に進められた事もあり、セミナーの方向を模索しながらの聴講となった。
初めて参加させていただきましたが 1) 具体的な事例があるのでわかりやすい 2) 参加者の方にも拠
るのだと思いますが、論点・視点も参考になります。 難点は3) (そもそも普段とは異なる視点を
感じてみることが目的なのでよいのですが)実務にどう活かすかについてイメージが湧きにくい。 と
いうことでしょうか。

■初めて参加させていただきましたが 1) 具体的な事例があるのでわかりやすい 2) 参加者の方にも
拠るのだと思いますが、論点・視点も参考になります。 難点は3) (そもそも普段とは異なる視点
を感じてみることが目的なのでよいのですが)実務にどう活かすかについてイメージが湧きにくい。
ということでしょうか。

■これまでは一つのブランドを同じ領域内でしかみていませんでしたが、あるブランドを想起した人は他の領域のどんなブランドを思い出したのかという他領域のブランドとの関係性がみえる点で、ブランドスケープの調査は面白いと思います。アンケートの回答(特に高齢者)の見方として、このアンケート調査はネットで行われたものであり、一般の人よりもネットを使いこなしている人たちが回答しているというのを意識してデータを解釈しなければならないと思いました。

■Brandscape;広告媒体やコラボレーション先の選定等に大いに使えると思いました。「反」ブラン
ドは、通常の度数との差ということで、消極的な結果ですが、積極的に嫌いなブランドというのも聞くなりわかるなりできると更に面白いのではないかと思いました。また、ESG投資等との関連で考えると、例えば環境に関心が高い人はこんなブランドとの親和性が高い…とかも、使い道が広がるのではないか。

■講演内容もさることながら、既に評価を得ているブランド論を確立していながら、更に革新への挑戦を続ける、講師の姿勢に感動した。尚、(1)自然な状態で(ごちゃまぜに)測定される企業ブランドと商品ブランドとの間で、連関分析ができたり、分けてランキングされたりすると、更に使い勝手が良い、
(2)各領域で「3つだけ」回答を求めるとSA; Single AnswerでもMA; Multiple Answerでもなく自社調査結果等と比較しにくく時系列比較も困難なため、3つ目の最後にextraの回答欄へリンクするボタンを出し(形だけでも)MAにすると、更に使い勝手が良い、
(3)調査会社のスクリーニング機能をうまく活用すれば、更に「濃い」回答を効率的に回収できるのでは、と感じた。
又、(4)Brandscapeとの名称に
ついては、既に書籍「売れるブランドの作り方 BrandScape」(著者は元ADKの石澤昭彦氏、2004
年)のサブタイトルと重なるため、再考するべき、と考える。

■初めて参加させていただき大変刺激を受けました。ブランド生態系という考え方は興味深く納得感があり、また事業会社ではなかなか解明できないところなので、今後の取り組みを楽しみにしております。

■今回の「ブランド生態系を測る」はここのところ展開されていた「定番仮説」の集大成、というか
それを世に問う実証研究という位置づけだと理解しましたが、ブランドJAPANとの決定的な違いが何なのか、が今一理解できませんでした。
とは言え“ファン、未ファン、非ファン”という分類は新鮮で、また“ブランド生態系”という考え方も面白いと思いました。ただカテゴリーを7つにした経緯が分からず、また憧れの対象であるラグジュア
リーブランドと日用品ブランドが生態系として混在するのは理解しますが、同列に扱って良いのかも疑問です。
一方、結果紹介でも触れていましたが、関西と東京で結果が大きく異なるのは当然で、私自身の行動パターンを振り返ってみても、ネットは別としてリアルな店舗はどうしても住んでいる所の近くになるので、生態系としてのブランドも地域で異なるハズです。従って日本全国でアンケートを取ると、全国展開しているナショナルブランドが強くなるものと思われます。ただ、トヨタがブランド親近感で得点が低いのは謎ですが、これは日本人の判官びいきが理由かも知れません。
いずれにせよ、まだ生まれたばかりの手法なので、これからデータが蓄積されて以前NHKで放送されていたように、AIを使ってビッグデータを解析して驚くようなブランド生態系の実態が明らかになることを期待しています。

■言葉遣いにかなりこだわって調査を作られていましたが、そのような細かい表現の違いが心情にかなり影響するのだと実感しました。違う商品カテゴリーとの関連性を出すようなデータの使い方は、思いつかないところにいる協力相手/競合を見える化できるため、使用価値が高く興味深かったです。